信州大付属病院(長野県松本市)は12日、長野県内に住む重症
狭心症の男性患者(61)の心臓に、血管を再生させる作用のある骨
髄の幹細胞を分離して移植し、新しい毛細血管を作り出すことに成
功したと発表した。男性は血流の改善が認められ、副作用もなかった
ことから、今月2日に退院した。
同病院によると、心臓への自己骨髄細胞移植治療で、幹細胞のみ
を移植したのは国内では金沢大に続いて2施設目。同病院の池田宇
一・循環器内科科長は「狭心症や心筋梗塞(こうそく)でバイパス治療
が出来ない場合や、従来の治療を受けても狭心症発作を繰り返す患
者に対しても有効な治療法だ」と話している。
男性は01年1月に狭心症の症状が出て、03年5月に同病院に入
院した。心臓周囲を取り巻く血管のうち3本が狭さく状態になり、1本は
バイパス手術ができる場所ではなかった。このため、今年9月1日に血管
2本をバイパス手術、残り1本は骨髄細胞移植による血管再生治療を
行った。
患者本人の腰の骨から骨髄液約550ミリリットルを採取。その中から
磁気を利用して、血管を再生させる幹細胞のみ約5ミリリットルを分離
し、患部の心筋へ直接移植した。分離した骨髄液の幹細胞の濃度は
80%以上で、金沢大が昨年実施した事例よりも濃度が高いという。
【藤原章博】
毎日新聞 2005年10月12日 20時31分
ソース
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20051013k0000m040090000c.html