岡山大大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会は27日、がんの放射線治療などを受ける女性患者が
副作用で不妊にならないよう、事前に卵巣を摘出し、凍結保存する臨床研究を承認した。申請者の
中塚幹也同大医学部講師によると、卵巣を凍結保存するのは国内初。
中塚講師によると、卵巣に影響が及ぶような放射線や抗がん剤による治療を受けた場合、放射線の
強さなど治療内容にもよるが、不妊になる恐れがある。これまでも卵子を取り出して凍結保存する
方法はあったが、排卵誘発のため2週間程度必要となり、がん治療開始が遅れる問題があった。
卵巣を摘出し液体窒素で凍結保存すれば、緊急を要する治療にも対応できる。卵巣は二つあるため、
受ける影響の程度によって両方や片方、片方の半分など摘出範囲を決める。がんや白血病の完治後に
卵巣を再び体内に戻すことで、患者が出産できる可能性を残せる。
今回申請したのは摘出から凍結保存までで、体内に戻す手術については今後改めて倫理委の承認を
求めるという。中塚講師は「不妊で結婚や出産をあきらめる患者もいる。卵巣を保存すれば速やかに
治療を受けることができ、将来に選択肢も残せる」と話している。
ベルギーでは昨年9月、凍結保存した卵巣を体内に戻した女性が世界で初めて女児を出産している。【四谷寛】
(毎日新聞) - 9月28日3時4分更新
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