肺がん治療薬「ゲフィチニブ」(商品名イレッサ)が効くかどうかを血液で簡単に判定する診断法を、
東大医科学研究所と広島大の研究グループが開発した。14日から札幌市で開かれる日本癌(がん)学会で報告する。
ゲフィチニブは、治療が難しい進行した非小細胞肺がんの患者の一部に大きな効果がみられる一方、
約5%に間質性肺炎などの重い副作用が起きたことが報告されている。このため、薬が効く見込みの
薄い患者への投与を避けることが望ましく、簡単な診断法の普及が望まれていた。
研究グループは、非小細胞肺がんの細胞から分泌される2種類のたんぱく質に注目。
ゲフィチニブを使っている非小細胞肺がんの患者50人について、薬の効果とこれらの血中量との関係を調べた。
その結果、二つのうち一つでも陽性と判定された22人のうち19人(86%)は、
薬を使っても肺がんが悪化した。どちらも陰性と判定された28人中17人(61%)は、
がんの進行が止まったり、がんが小さくなったりする薬の効果が表れた。
これまでの検査法は、がん細胞を患者から直接取って遺伝子を調べるため、
患者の肉体的な負担が大きいうえ、遺伝子を調べる特別な装置が必要だった。新しい診断法は、
患者から血液を採取するだけで済み、検査部のある病院なら早ければ半日で判定が可能という。
現在は神奈川県立がんセンターと協力して、他のたんぱく質を組み合わせるより
精度の高い診断法の確立をめざしており、数年以内に実用化させる方針。
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/science/20050913/20050913i401-yol.html