【物理/超伝導】外来原子が炭素の超伝導を引き起こす――黒鉛層間挿入化合物における超伝導

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1canonicalφ ★
【物理/超伝導】外来原子が炭素の超伝導を引き起こす

<要旨>
 過去うまく作ることの出来なかった黒鉛層間挿入化合物(そのままグラファイトインターカレー
ション化合物と言った方が通りの良い方も多いかもしれませんが)、CaC6をバルク量作成すること
に成功した。これは他のMC6系(Mは金属)化合物と異なり斜方構造である。また計算に基づいて
黒鉛層間挿入化合物における超伝導を実現する電子-フォノン相互作用を明らかにした。

physicsweb.orgより引用
http://www.physicsweb.org/articles/news/9/8/18/1

ソース全訳は>>2

<関連スレッド>
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2canonicalφ ★:2005/09/01(木) 17:39:28 ID:???
<ソース全訳>
 バルク量の炭素ベースの超伝導体がフランスの物理学者によって作られた。この物質はCaC6とし
て知られており、黒鉛の6角形からなる2次元シートの間に「外来の」カルシウム原子が含まれてい
る。この材料を作る技術はアンリポアンカレ大学のNicolas Emery氏ならびに第6、第7パリ大学の共
同研究者により考案された。この材料は11.5ケルビン以下で超伝導となる。

 超伝導は電気抵抗がまったくない状態で、特定の材料を超伝導転移温度(Tc)にすることで見られ
る。電子が相互のクーロン反発に打ち勝って「クーパー対」を作ることによって超伝導が起きると
物理学者は考えている。低温超伝導のバーディン-クーパー-シュリーファー(BCS)理論では、物質
の格子振動であるフォノンとの相互作用により電子は結び付けられる。CaC6は「黒鉛層間挿入化合
物」(カルシウムやナトリウム、リンなどの外来原子が黒鉛中に挿入された新しい電子材料群)の
一例である。これらの材料は黒鉛の2次元層とその間の外来原子から成っている。黒鉛は半金属で、
外来原子から受け取ったり与えたりした電子によって黒鉛の性質が変えられ、最終的に金属的な材
料となる。

 最初の超伝導黒鉛ドープ化合物はリンカーバイド(KC8)でこれは40年以上前に発見され、Tcは0.14
ケルビンに過ぎなかった。この年より早く、研究者はイットリウムカーバイド(YbC6)も超伝導を6.5
ケルビンで示すことを発見しており、またCaC6が11.5ケルビンより高い温度で超伝導となるおおよそ
の結果を得ていた。しかしこの実験ではCaC6の外来カルシウム原子は材料表面の近くでしか存在せ
ず、従って転移温度を正確に測定することは出来ていなかった。Emery氏らは新しい方法でこの問題
を解決し、バルク量のCaC6サンプルを得ることが出来た。

 この方法は、アルゴン雰囲気下で10日間にわたり350℃の融解したリチウム-カルシウム合金と共
に黒鉛を加熱、熱分解するものだ(Phys. Rev. Lett. 95 087003)。X線回折を用いてCaC6が唯一の斜
方晶系のMC6類(Mは金属)化合物である(他は六法晶系)ことを物理学者が示した。加えて、彼ら
はこの材料が11.5ケルビン以下で急激に磁化率が低下することを発見し、これはこれまでの黒鉛層間
挿入化合物で観測された中でもっとも高いTcであった。

 Emery氏のチームの共同研究者であるパリ第6大学のMatteo Calandra氏とFrancesco Mauri氏の行っ
た計算によれば、CaC6における超伝導は電子-フォノン機構によるものである(cond-mat/0506082)。
材料中の電荷キャリアは、黒鉛層面に垂直あるいは平行に振動する炭素原子と結びついたカルシウム
原子の「フェルミ表面」中の電子がほとんどである。これがすべての黒鉛層間挿入化合物における
一般的なメカニズムであるかもしれないことをこの結果は示している。
3名無しのひみつ:2005/09/01(木) 17:40:14 ID:ynLqCHGB
  ワケ     ワカ       ラン
  ∧_∧   ∧_∧    ∧_∧
 ( ・∀・)  ( ・∀・)   ( ・∀・)
⊂ ⊂  )  ( U  つ  ⊂__へ つ
 < < <    ) ) )     (_)|
 (_(_)  (__)_)    彡(__)
4名無しのひみつ:2005/09/01(木) 17:43:26 ID:3g7S5rCO
>>3
ポイントは2つです。
●過去うまく作れなかった超伝導材料をうまく作れた
●その材料について解析することでこの材料の仲間の超伝導の仕組みが分かった
5名無しのひみつ:2005/09/01(木) 17:46:40 ID:aQl1AQgP
バルク量ってその構造が延々と続くと仮定しても
理論的に十分精度よく扱える量ってことですか
6名無しのひみつ:2005/09/01(木) 17:59:42 ID:nyW8Dc2F
今回のは、何℃で超伝導になるの?
7canonicalφ ★:2005/09/01(木) 18:02:41 ID:???
>>5
そのように考えてもらって差し支えないと思います。
結晶構造の対称性が支配的になる量ととってもらって良いです。

>>6
あ、>>1に書くのを忘れましたが、>>2にある通り11.5K以下で超伝導です。
8名無しのひみつ:2005/09/01(木) 18:02:44 ID:/pmPjZWX
アルゴン雰囲気ってどれぐらい微妙な雰囲気?
9canonicalφ ★:2005/09/01(木) 18:03:49 ID:???
>>8
窒素雰囲気よりは重い雰囲気です
10名無しのひみつ:2005/09/01(木) 18:04:18 ID:13c9cyC7
>>6
摂氏に直すと-261.65℃やがな(´・ω・)
11名無しのひみつ:2005/09/01(木) 18:38:24 ID:sG/KMxR1
外来原子?
女子の名前かとおもた。
12名無しのひみつ
>>2
>  最初の超伝導黒鉛ドープ化合物はリンカーバイド(KC8)で

カリウムやがな

こりか
http://link.aps.org/abstract/PRL/v95/e087003