【遺伝】チンパンジーのゲノム概要解読 ヒトの能力解明手がかり

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1ばーきゅーφ ★
ヒトに最も近い生物、チンパンジーの全遺伝情報(ゲノム)の概要を米国の
チームが解読した。ヒトのゲノムと比較すれば、知性などヒト独特の能力を
解明する手がかりとなるが、すでにヒトとチンパンジーの間で進化の様子が
違う遺伝子の候補などもあり、今後の研究が期待される。この成果は1日
発行の科学誌ネイチャーに発表される。

 米国のブロード研究所、ワシントン大などのチームが、飼育下で生まれた
雄チンパンジー「クリント」から取ったゲノムを調べた。ヒトとチンパンジーが
その共通祖先から分かれたのは今から600万年ほど前とされ、両者の
ゲノムの違いは、その後の突然変異と自然淘汰(とうた)で生じた。

 研究結果によると、ヒトとチンパンジーのゲノムの違いは4%ほど。このうち、
遺伝情報を示す文字にあたる塩基が一つだけ違うのはゲノム全体の1.23%だった。
これは、すでに日本のグループが示しているのと同じだ。一方、複数の塩基が
まとまって入り込んだり欠けたりしているのは全体の3%ほどだった。こうした
違いの中に、ヒトとチンパンジーが違う原因が含まれていることになる。

 今回の結果は正確さが99%程度の概要で、まだはっきりしたことはいえないが、
調べられた遺伝子の中には、ヒトとチンパンジー双方で突然変異が起きやすく
環境適応に役立つと考えられるもの、チンパンジーよりヒトの方が進化が速いものの
候補も見つかった。ヒトにあり、チンパンジーで失われるなどした遺伝子も50以上見つかった。

 チンパンジーゲノム解読では、日本の理研グループが昨年も、チンパンジーの
22番染色体について、より正確な解読データをネイチャー誌に発表した。

http://www.asahi.com/science/news/TKY200508310351.html
2名無しのひみつ:2005/09/01(木) 01:22:55 ID:izlZMlEg
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    .|        (_人__丿  """      |  ネコも解読して♪
     l        ヽノ            l
    ` 、  /⌒⌒i   /⌒ヽ        /
      `/    |   |    \    /
3名無しのひみつ:2005/09/01(木) 01:22:55 ID:niC0EGFk
チンパンジー
  ↓
 人 間
  ↓
ディクロニウス
  ↓
 さ る
4名無しのひみつ:2005/09/01(木) 01:28:02 ID:R1nULaUL
パン君に聞いてみれば?
5名無しのひみつ:2005/09/01(木) 01:56:22 ID:pBWY9Knz
時代はRNAiだよ。
6pureφ ★:2005/09/11(日) 01:28:52 ID:???
遺伝 : チンパンジーとヒトのゲノムには際立ったちがいがある

 ヒトと類縁関係の一番近いチンパンジーのゲノム塩基配列の全容が、今回明らかになった。
ヒトと他の動物の間に一線を画すものは何なのか、その答えを探す旅の道標の1つにたどり
着いたわけである。このゲノム配列は、チンパンジーゲノム配列解読・解析共同研究体と
いう国際研究グループにより、現在多くの生物種ゲノムの配列解読に使われている全ゲノム
ショットガン法を使って決定され、今週号にまとめて掲載されたチンパンジーゲノム研究報告
の1つとして発表された。

 このグループがヒトとチンパンジーのゲノム配列を比較したところ、ヒトゲノムでは強い自然
選択を受けた形跡があるのにチンパンジーの対応する配列ではそれがない領域が、複数
見つかった。これらの配列は、言語などヒトに特異的な形質を見きわめるのに大いに役立ち
そうである。

 しかし、ヒトとチンパンジーの違いは考えられていたよりも大きいのかもしれない。両者の
ゲノム配列は遺伝子中の単一塩基の置換について見ると1.2 %しか違わないが、もっと長い
DNA区間の重複や並び替えを考慮すると違いはさらに2.7 %増えるとE Eichlerたちが報告
している。

 また別の研究でB Traskたちは、こうしたヒトゲノムの「分節重複」は染色体末端近くの
サブテロメアと呼ばれる領域に高頻度で生じていることを示し、これらの部位が両種間の
遺伝的違いが生じる「ホットスポット」にあたるのではないかと述べている。

 またD Pageたちの報告によると、チンパンジーの「性的な習性」がY染色体にとって不都合
に働いている可能性があるという。Y染色体は精子の製造を担う遺伝子群を抱えているが、
この染色体は小型なのでチンパンジーでもヒトでも、他の染色体ほど簡単には組み換えが
起こらない。

 乱交型のチンパンジーでは、雄は自分の精子で雌を受胎させようと激しい競争をしており、
それには大量の精子を作らなければならないから、精子の製造は雄にとって重要問題である。
そのため、さまざまな有害変異がこれらの大事な遺伝子群に便乗して子孫に伝えられたと
しても、それが自然選択によって排除されないのだ。

Nature Highlight September 01, 2005
http://www.natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?id=1104&issue=7055

Initial sequence of the chimpanzee genome and comparison with the human genome
The Chimpanzee Sequencing and Analysis Consortium
Nature 437, 69-87 (1 September 2005) | doi: 10.1038/nature04072
http://www.nature.com/nature/journal/v437/n7055/abs/nature04072.html
7pureφ ★
September 01, 2005
Cover Story : チンパンジーゲノムの解読

表紙は、ウガンダのキバル国立公園の大人の雌チンパンジー「ジョリー」である。この写真は
2004年8月16日、ジョリーが初めての子供を産む数週間前に、写真家K Langergraberが撮影
したものである。今週号には、我々に最も近縁の生物の研究における画期的な進展が掲載
されている。

 チンパンジーゲノム解読・解析共同研究体からは、チンパンジーゲノムの塩基配列の初期の
解読とヒトゲノムとの比較が報告されている[p.69]。この論文は、ヒトとチンパンジーが共通の
祖先から分岐して以来それぞれの種を形づくってきたさまざまな変化について述べ、我々を
ヒトという独自の生物たらしめているもの、つまり3500万個の単一塩基置換、500万箇所の短い
挿入や欠失、局所的な再編成や染色体融合を明らかにしている。またチンパンジーとヒトゲ
ノムでの遺伝子重複を比較した論文では、病気へのかかりやすさの基盤となる可能性のある
遺伝子発現の違いが明らかにされている[p.88]。

 ヒトゲノムの研究からは、最近起こった染色体重複や遺伝子変換はサブテロメア領域に
集中していることが明らかにされている[p.94]。チンパンジーとの塩基配列比較からは、
ヒトの進化の過程でY連鎖遺伝子がよく保存されてきたことが明らかになった[p.101]。

 特集の最後は我々の知識の大きな空白部分を埋めてくれる論文で、初めて見つかった
チンパンジーの化石から、チンパンジーと初期のヒトが同じ環境内に生息し、そこで進化と
分岐が起こったことが明らかにされている[p.105]。この化石(3本の歯)はケニアの50万年
前の堆積物から見つかったもので、同じ堆積物からはヒト属の化石も見つかっている。

 これらの論文と共に掲載されている4つのProgress(「総説」「展望」あたりでしょうか、この
ままでもいいかも)では、チンパンジーの文化、社会行動、心理、認知を取りあげている
[p.52,56,60,64]。

 他にも、チンパンジーを扱う研究についての話や[p.20]、他の霊長類ゲノムプロジェクトに
ついてのまとめ[p.17]、また2つのCommentaryでは大型類人猿の研究をめぐる重要な倫理
問題について考察がなされている[p.27、p.30]。

Nature Highlight September 01, 2005
http://www.natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?id=1105&issue=7055