■陽子線がん治療施設「3次元照射システム導入を」〜専門家委員会・福井(08/29/2005)
陽子線がん治療施設等整備検討委員会(委員長・森田皓三愛知県がんセンター名誉病院長)は
二十八日、福井市の県民会館で第三回会合を開き、がんの治療効果を高めるため、日本で初めての
機能を盛り込むなどの検討結果をまとめた。近く県に正式に報告し、県はそれを受けて具体的な
整備方針の決定を急ぐ。
会合は非公開で進められ、終了後に森田委員長が検討結果の概要を明らかにした。それによると、
陽子線のほか、より質量の大きい炭素イオン線についても検討していた治療法については、既に技術が
確立されている陽子線治療を選択。施設は、抗がん剤による化学療法などを組み合わせた治療もできる
ように、体制が整っている既存の総合病院への併設が適切とした。
施設の機能については、敦賀市の若狭湾エネルギー研究センターで研究中の「高度三次元照射システム」や、
患部に正確に照射するためのCT装置の導入などを提言している。
特にこのシステムは、患部の形に合わせて照射範囲を調節できるようにするもので、がん細胞に対する
治療効果を高めつつ、正常な細胞に対するリスクも軽減できるメリットがある。森田委員長によると、
システムが導入されれば、陽子線がん治療施設としては日本で初めてになるという。
(後略)
http://www.kenmin-fukui.co.jp/00/fki/20050829/lcl_____fki_____007.shtml (引用元配信記事)
県民福井ニュース
http://www.kenmin-fukui.co.jp/ (08/29/2005) 配信
【多地点合同メディカル・カンファレンス〜国立がんセンター】
固形がんに対する粒子線治療(2005年6月23日)
http://www.ncc.go.jp/jp/ncc-cis/pro/vod/abstract/MC05-21.html 陽子線や炭素線といった粒子線治療は、従来のX線を用いた放射線治療と比べて
腫瘍に対する線量集中性が高く、正常組織への照射線量を抑えつつがんに対して
高線量を照射することが可能であり、がん治療における有効性が期待される。
【放射線療法〜国立がんセンター】
http://www.ncc.go.jp/jp/ncc-cis/pub/treatment/010706.html 放射線とは、空間や物質中を波のかたちや粒子でエネルギーを伝播するものを
総称する言葉です。電磁波と粒子線の2種類に大きく分けられます。電磁波には、
X線、γ線(ガンマ線)などが含まれます。粒子線は、原子を構成する粒子(電子、
陽子、中性子など)がいろいろな速度で飛んでくるものです。がんの治療に使われ
ている放射線は、X線、γ線、電子線が主で、その他陽子線、重粒子線が研究段階で
使われています。国立がんセンター(中央病院、東病院)では臨床に使用できるあらゆる
X線、γ線、電子線が利用できる装置を備えている他、国立がんセンター東病院では
1998年終わりから陽子線治療を開始し、頭頸部腫瘍、肺がん、肝がん、前立腺がんなど
に適用されています。
【粒子線(荷電重粒子線)治療〜国立がんセンター】
http://www.ncc.go.jp/jp/ncc-cis/pub/treatment/010703.html 粒子線(荷電重粒子線)治療とは、陽子や重粒子(重イオン)などの粒子放射線のビームを
病巣に照射することによって、主に悪性腫瘍を治す放射線治療法の総称です。利用する粒子の
種類によって、陽子線治療・重粒子(重イオン)線治療・パイ中間子治療などに分けられ、世界の
各地で臨床応用や研究が行われています。例えば陽子線治療では、水素原子の原子核であり、
正の電荷を持つ陽子を加速して高速にしたものを体内に照射します。
粒子線治療は、サイクロトロンやシンクロトロンなどの加速器から得られる陽子線や重粒子(重イオン)線を
がんという標的にねらいを絞って照射する治療法です。粒子線のうち電荷を持つもの(荷電重粒子線)の特徴は、
一定の深さ以上には進まないということと、ある深さにおいて最も強く作用するということです。これらの特徴から、
陽子線や重粒子(重イオン)線では光子線に比べてがん病巣にその効果を集中させることが容易となります。
したがって、がん病巣周囲の組織に強い副作用を引きおこすことなく、十分な線量を照射することができます。
陽子線や重粒子(重イオン)線は、がんに限局して照射できることから進行していない限局したがん病巣の治療に
適していると考えられています。がんの周りに放射線に弱い組織がある場合の治療に特に有効性が発揮できると
思われます。今までの実績から眼球内の悪性黒色腫、中枢神経系の近くにできた脊索腫や軟骨肉腫、一部の
頭頸部がん、I期非小細胞肺がん、肝細胞がん、前立腺がんなどに対する有効性が明らかとなっています。