■β遮断薬のPTSDに対する有効性(08/08/2005)
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発作時に、心疾患治療薬のβ遮断薬を用いると、
原因となる記憶から恐怖感を取り除くのに有用であることが、米コーネル大学Weill校(ニューヨーク)
精神医学准教授のMargaret Altemus博士らの研究で明らかにされた。
PTSDの発作で極度の恐怖を感じる際には、カテコールアミン(アドレナリン)と呼ばれるホルモンが
放出される。プロプラノロールなどのβ遮断薬は、カテコールアミンが作用する細胞の受容体
(ベータアドレナリン受容体)の一つを遮断することによって、記憶に起因する恐怖を軽減させる働きをもつ。
Altemus博士らは動物実験で、電気ショックを与えた後の音に対して恐怖感を覚えるようにさせたマウスに、
音を出した直後にプロプラノロールを投与すると、恐怖感が消えることを確認。また、ヒトでの予備試験では、
プロプラノロールの投与により、3日後まで恐怖反応が軽減されることがわかった。
ただしAltemus博士は、PTSDの発生率は被災者の10%未満と低いため、心的外傷を来す恐れがある
体験者すべてへのプロプラノロール投与は無意味と指摘する。
PTSDの治療として、最も効果的で広く使用された治療は患者が外傷性の出来事に関連している刺激に
さらされる「疑似体験療法」である。β遮断薬の有効性が証明されても、「疑似体験療法」の効果を高める
ものとして用いることが考えられている。β遮断薬の副作用は少ないが、喘息や糖尿病患者には推奨されない。
Heart Drugs Could Ease Trauma Memories
Early research suggests effectiveness against post-traumatic stress disorder
August 08, 2005
http://www.healthday.com/view.cfm?id=527144 HealthDay
http://www.healthday.com/index.cfm This article is available to Premium and Premium plus subscribers.
Beta-blockers tackle memories of horror p448
Common drug might treat post-traumatic stress disorder.
Jim Giles
doi: 10.1038/436448a
http://www.nature.com/nature/journal/v436/n7050/index.html doi:10.1038/436448a
Beta-blockers tackle memories of horror
news@nature Published online: 27 July 2005
Nature 436, 448 - 449 (28 July 2005)
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/436448a