専門家らは中国のアウトブレイクに疑問 スティーヴ・ミッチェル
http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=20050805-050919-5093r ワシントン 8月5日(UPI)
中国政府当局者は、ブタの奇妙な病気である、ブタインフルエンザが、ヒトにも感染し、死に至らしめていると主張している。
しかし、WHOは、病原体をより正確に特定するために、さらなる検査を行う方が良いと中国政府に勧めている。
そして、少なくとも一人のアメリカ人科学者は、エボラウイルスの一種が、このアウトブレイクに関与していると考えている。
この奇妙な病気は、中国四川省で発生し、206人に感染、内38人が死亡、18人が重体に陥っている。
中国保健省は、この病気がブタインフルエンザであると発表したが、実際には、ブタインフルエンザではなく、ブタ連鎖球菌によって起こされたものであった。
しかしながら、ブタ連鎖球菌は、ヒトには、ほとんど感染せず、通常は死に至らしめることなどは、あり得ない。
「わたしは、この病気の原因はブタ連鎖球菌であるとは思いません」
分子生物学者ヘンリー・ニーマン氏は、UPIの取材にこう答えた。
「ブタ連鎖球菌は通常、ヒトに感染せず、例え、感染したとしても、ヒトの命を奪うようなことはないのです」
ニーマン氏が社長を勤める、ピッツバーグのRecombonomics社では、新種の病気の分子進化を研究している。
ニーマン氏は、東南アジアで50人以上の死亡者を出した、トリインフルエンザH5N1型が、突然変異を起こしたことで、毒性が強まり、今回のアウトブレイクにつながったと考える。
「さらなる調査をしないとこれ以上のことは言えません」
ニーマン氏はこう語る。
これまでのところ、中国の専門家は、患者から採取した病原体のサンプルを外部の専門家に渡すことを拒んでいる。
また、もう一つの可能性として、感染者の50%から90%を死に至らしめるエボラ出血熱が考えられるとニーマン氏は語る。
中国のウェブサイト、Boxun.comには、四川省のアウトブレイクを調査した中国人医師のインタビューが紹介されており、これがエボラ出血熱説の根拠となっている。
ワン博士と名乗る医師によると、四川省のアウトブレイクで、数名の患者のサンプルからエボラウイルスが検出されたという。
エボラウイルスは、アフリカ以外で発見されたことは無く、これは、異常な事態と言える。
かし、ワン博士によると、中国政府当局者は、エボラウイルスに関するいかなる情報も遮断し、エボラ出血熱が発生したことは国家機密だという。
月曜日には、エポックタイムスは、「中国共産党は、報道機関の取材を禁止し、『エボラウイルス』という単語の使用を禁止した。そして、代わりに別の単語を用いるようにと命じている」と報じた。
以前、中国政府当局者は、三月下旬に広東省でエボラ出血熱のアウトブレイクが起きたという噂を否定していた。
ブタ連鎖球菌のアウトブレイクは六月まで起きていない。
ブタ連鎖球菌に関連した、最初のヒトの症例は六月二十四日に起きている。
しかし、中国政府当局者は、七月下旬までこの事実を明らかにしていない。
そして、四川省に報道関係者が入ることを禁止している。
ワン博士はインタビューで、ブタインフルエンザが、四川省でのアウトブレイクに一役買ったかもしれないと言う。
しかし、これはアウトブレイクの主な原因では無いとワン博士は語る。
博士はまた、腺ペストが検出されたサンプルや、エボラ出血熱、ペスト、ブタインフルエンザについて陽性を示したサンプルもあったと言う。
「わたしは、これは基本的に、エボラと腺ペストを主成分とする血中ウイルスだと思う」とワン博士は語る。
中国が生物兵器としてエボラウイルスを開発していたかどうかは不明である。
しかし、アメリカ国務省は、2002年、中国が生物兵器の研究・開発計画を進めているのはあり得ることだと述べている。
それに加えて、現在、アメリカに住んでいる、ソビエト生物兵器計画の前副チーフ、ケン・アリベック氏は、以前、ソビエト当局者が、中国で、生物兵器の研究・開発設備を目撃したと語っている。
また、アリベック氏によると、1980年代後半に、エボラクラスの出血性の熱病が、今回、アウトブレイクが起きた地域で、二回、流行したという。
ソビエトのアナリストは、これは、中国人科学者が、ウイルスを兵器化していた研究所から、事故でウイルスが漏れたことが原因ではないかと、分析している。