【宇宙/カッシーニ】大気を持つ土星の衛星エンセラダスから175kmまで接近

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19♪名有りのひみつ♪φ ★
☆追加情報
(今回のエンセラダス・フライバイで得られた画像を解析した結果が発表されました。南極
地方の過去の歴史を物語る様々な地形が明らかになりました。新たにスレを立てる必要
はないと思うので、追加情報という形で紹介します。)

☆ソース
(1) NASA Cassini-Huygens Mission - MISSION NEWS - Cassini Finds Recent and Unusual Geology on Enceladus
http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/media/cassini-072605.html
(2) Cassini-Huygens: News-Press Releases-2005: Cassini Finds Recent and Unusual Geology on Enceladus
((1)と文章は同じです。日本語訳は>>20辺りで)
http://saturn.jpl.nasa.gov/news/press-release-details.cfm?newsID=590

☆画像&動画
(1) Tiger Stripes Up Close
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06247
(2) Craters and Cracks
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06248
(3) Enceladus In False Color
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06249
(4) Boulder-Strewn Surface
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06250
(5) Boulder-Strewn Surface -- Wide Angle Camera View
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06251
(6) Boulder-Strewn Surface -- Narrow Angle Camera View
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06252
(7) Zooming In On Enceladus (Mosaic)
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06254
(8) Zooming In On Enceladus (Movie)
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06253
20♪名有りのひみつ♪φ ★:2005/07/27(水) 11:35:04 ID:???
☆日本語訳(原文・画像等は>>19参照)

カッシーニが、新しいエンセラダスの風変わりな地形を明らかに

 NASAのカッシーニ探査機は、土星の衛星エンセラダスの南極地域の新しく詳細な画像
を撮影した。データからは、この衛星表面に見られる特徴的な地質学的地形や最も若い地
形が明らかになった。これらの発見は、土星の最も明るく最も白い衛星のとても複雑な進
化過程を示すものである。

 カッシーニは7月14日、この氷の衛星の表面から175km(109マイル)以内にまで接近した
。今回の接近で、ほとんど衝突クレーターが見られない南極付近の地形が明らかになった
。この地域にはまた、この地域でのみ見つかっている他では見られないパターンの地殻活
動によって削り取られた家サイズの氷の巨礫が散らばっている。

 エンセラダスは新雪のように真っ白で、その表面は太陽系の中でも最も反射率が高い。
これまでのカッシーニによるフライバイで、他の土星の氷の衛星とは異なり、エンセラダス
にはわずかにクレーターが見られる地域、亀裂が多数見られる地域、しわのような地形が
見られる地域が明らかになっている。

 辿ってきた歴史の中のかなり長い期間にわたって、様々な地質学的活動を経験してきた
この衛星の物語に、新しい発見が書き加えられる。この衛星の最も南の地方で、つい最近
活動があったとみられる。

 同じ地方には、衛星の自転周期の変化の痕跡も見られるようだ。この推定が真実だとす
れば、なぜエンセラダスは垂直に交差する断層や褶曲、隆起が全球にわたって見られる、
歪んだ表面を持っているのか、そのような謎に挑む科学者らにとってのヒントになるかもし
れない。最も注目すべき画像には、およそ10〜100m(33〜328フィート)の大きさを持つ氷
の塊が写っており、エンセラダスの他の地域の表面を覆っていると思われているとても小さ
な粒子でできた霜は見られない。

 「建物程の大きさを持つ塊が散らばっている風景は全く予想していなかった」、とニュー
ヨーク州イサカにあるコーネル大学の画像チームのメンバーであるPeter Thomas博士は
話す。「表面を覆う細かい物質は最小限で、周辺地域に表面を横切る小さな亀裂状の地
形が見られないことが、この地域がエンセラダスの中でも最も若いことを示している。」

 最新の画像を元に作成されたこの地域の擬似カラー合成画像では、粗い粒子の氷が露
出している亀裂が、他の地域でも見られるもののこの地域では最も豊富に見られ、このこ
ともまた南極地方の地表が若いことを支持するものである。いくつかの画像は答えに至る
ヒントになるかもしれない。エンセラダス表面のY字型の地殻活動による亀裂地形も新たに
明らかになった。この風変わりな地形、平行な隆起と谷間は、南極地域周辺における偶然
ではない何らかの秩序を持った褶曲や変形を示しているように見える。

 「これらの地殻活動による地形が、エンセラダス表面の若い南極地域をより古い地域か
ら隔てるはっきりとした境界を作っている」、と同じくコーネル大学の画像チーム関係者の
Paul Helfenstein博士は言う。「その位置や方向は、エンセラダスの自転がこれまでどのよ
うに変化してきたのかや、この衛星の表面を破壊してきた地質学的活動のエネルギー源
は何なのかについて、私たちに大変興味深い物語を語りかけているのかもしれない。」

 ある程度の大きさのクレーターが見られないこともまた、南極地方がエンセラダスの他の
地域よりも若いことを示唆している。この地域の若さを示すこれらの特徴は科学者らの大
きな関心を集めている。彼らはエンセラダスが土星の広く拡散したEリングを作る物質の供
給源ではないかと長年考えてきた。Eリングはエンセラダスの軌道に一致して広がっている
からである。若い地表が存在するためには、地表の構造を変えるのに必要な熱を産生す
る方法がなくてはならない。カッシーニの他の機器を担当するチームが、温度や構造、分
子、磁場に関するデータをそれぞれ解析中である。これらのデータと画像の解釈とを合わ
せることにより、より完璧なイメージを作り上げることができるだろう。