観賞用などとして輸入された昆虫やトカゲなどが原因とみられる病気が、
飼育されている在来種にも広がりつつあることが、国立環境研究所(茨城県つくば市)などの調査で分かった。
専門家は「病原体を持つ外来種が野外に放されると、日本の生態系が脅かされる危険性がある」と警告しており、
環境省は先月施行された特定外来生物被害防止法による規制も検討し始めた。
カブトムシやクワガタの輸入は99年から本格的に解禁された。
現在は約550種の輸入が許可されており、昨年は99年の約150倍にあたる約105万匹が輸入された。
同研究所の五箇公一研究官によると、この数年間に東京都内の愛好家らから「輸入クワガタを飼育していたら、
同じ室内で飼っていた在来種のクワガタが死んだ」との報告が数件あった。
死んだクワガタにはダニが付着し、その部分が腐ったようになっていたという。
ダニ自体は無害の種類とみられるが、輸入クワガタに使った飼育用マットで在来種を飼うと、
ダニがいなくても死ぬことが判明。五箇研究官は「ダニが持っていたウイルスが原因ではないか」と考え、
米国の研究機関にダニの分析を依頼した。
また、麻布大の宇根有美助教授(獣医学)によると、
中東原産で鮮やかな模様などに人気があるヤモリの仲間「ヒョウモントカゲモドキ」の寄生虫が、
鹿児島県・徳之島原産の県天然記念物「オビトカゲモドキ」など在来種にも寄生することがわかった。
寄生されたヒョウモントカゲモドキは40週程度で死ぬが、初めはやせたり食欲不振になるだけのため、
寄生虫を持ったままネットオークションなどで取引されるケースも多いとみられる。
宇根助教授は「希少な在来種に影響が出る恐れがある」と話す。
環境省は、先月施行された「特定外来生物被害防止法」の規制対象にクワガタを加えることも検討中。
対象になると、研究目的などに輸入が限定される。
だが「規制すると、処分に困った飼い主が野外に放出する可能性がある。
また(ダニや寄生虫など)微小な生物まで対象にするのは難しい」(環境省野生生物課)という悩みもある。
五箇研究官は「原産地では宿主と共存していた寄生生物も、日本ではどんな影響を与えるか予測できない。
規制対象でなくても安心できない」と話している。
元記事:Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050707-00000067-mai-soci http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1118578184/124