レーザーによる陽子加速で偏光方向の制御によるエネルギー増大効果を発見
―粒子線がん治療装置の超小型化などに期待―
日本原子力研究所、電力中央研究所、京都大学、放射線医学総合研究所は、
小型高強度レーザーを用いた陽子加速の共同実験において、照射するレーザー光の
偏光の方向を制御することにより、陽子の発生個数及びエネルギーを増大させ得る
ことを発見した。この成果は、がん治療用超小型レーザー加速器の実現に向けた
開発研究の中で得られたものであり、原研関西研究所光量子科学研究センターの
大道博行主任研究員、電力中央研究所電力技術研究所の根本孝七上席研究員、
京都大学化学研究所の野田章教授及び放射線医学総合研究所先進小型加速器
事業推進室の山田聰室長と、それぞれの研究グループの共同研究によるものである。
水素を含んだ金属薄膜に電力中央研究所の保有する小型高強度レーザー装置からの
超短パルスレーザー光(パルス幅50フェムト秒)を集光して1平方センチメートルあたり
2〜3×10^18ワットの強度で、偏光方向をp偏光、s偏光、円偏光と変えて照射する実験を
行った。その結果、発生する陽子の個数や最大エネルギーに明確な偏光依存性があり、
p偏光照射の場合が最大になることを見出した。その場合、レーザー照射1回あたりs偏光の
場合の約1.4倍にあたる、それぞれ10億個、88万電子ボルトが得られた。この偏光依存性の
発見をもとに、さらなる高エネルギー化、効率化のためのレーザー制御手法の開発を行い、
小型レーザー加速器の実現を促進させる。
(以下略)
引用元:日本原子力研究所プレスリリース
http://www.jaeri.go.jp/jpn/open/press/2005/050705/index1.html