マウスが効率よく精子を生産するには、細胞死(アポトーシス)を起こしつつある
不要な精子を除去する機能が不可欠であることを、金沢大医学系研究科・薬学部
の中西義信教授(生化学)らが、世界で初めて明らかにした。男性に不妊の原因が
ある場合、精巣内でいらなくなり、細胞死を始めた精子を除去する機能が低下して
いる可能性があり、新しい不妊治療につながる基礎研究として注目されそうだ。
精巣で大量に生み出される精子は生産過程で、細胞死するものが多いことが
知られている。何らかの障害がある精子が選ばれ細胞死していると推定されるほか、
精子の過密状態を防ぐためとも考えられている。
グループはこれまで、「セルトリ細胞」と言われる貪食(どんしょく)細胞が細胞死した
精子を“食べる”ことを発見。細胞死が始まると、その精子の外側に特定のリン脂質が
露出し、セルトリ細胞の表面にある受容体と結合し取り込まれることで、細胞死の
精子を除去することを解明した。
今回、細胞死が始まった精子の外側に出てくる特定のリン脂質と結合する別の
タンパク質を精巣に注入し、細胞死の精子を除去するセルトリ細胞と結びつかないよう
にしたマウスを使って実験した。細胞死を始めた精子の除去機能をなくしたマウスは、
正常マウスに比べて千分の一の量しか精子を生産できなかった。成果は六月二日から
金沢市で始まる日本脂質生化学学会で発表される。
中西教授は「男性に原因がある不妊の場合、精子の量が少なかったり、精子の運動
能力が低下したりしているが、理由は分からない。男性患者で精巣内のセルトリ細胞が
機能しなくなることが臨床的に確認できれば、新たな不妊治療に道を開く可能性がある」と話している。
つづきはここでなー★
http://www.chunichi.co.jp/00/ikw/20050518/lcl_____ikw_____000.shtml