TOPPERSプロジェクト、マルチプロセッサー対応のリアルタイムOS『TOPPERS/FDMPカーネル』
を発表――オープンソースソフトウェアとして配布の予定
NPO法人“TOPPERSプロジェクト”は18日、東京都内にて報道関係者向けの説明会を開催し、
マルチプロセッサー対応のリアルタイムOS『TOPPERS/FDMPカーネル』の開発成功と、オー
プンソースソフトウェアとしての配布を発表した。TOPPERSプロジェクトはITRON仕様をベース
とした組み込み機器向けの各種ソフトウェアの開発と公開、教育を通じたシステム技術者の
育成などを目的とした特定非営利活動法人(NPO法人)。(中略)
今回発表されたTOPPERS/FDMPカーネルは、4年半前にTOPPERSプロジェクトが公開した
OS『TOPPERS/JSPカーネル』をベースに、機能分散マルチプロセッサー環境に対応するリア
ルタイムOSとして開発されたもの。組み込み機器用OS『μITRON 4.0』のスタンダードプロ
ファイルに準拠しており、機能の異なる複数のプロセッサーを搭載するシステム上で、プロ
セッサー間の同期や通信をOS側でサポートするリアルタイムOSとして開発されている。想
定されるシステムとしては携帯電話のように、アプリケーションプロセッサーとベースバンド
プロセッサーを別々に備えている、現在および近い将来のデジタル機器をターゲットとして
いる。
組み込み機器の世界では、従来からあるITRON系に加えて、Linuxを採用する機器も特に
いわゆるデジタル家電の分野で急成長している。しかしLinuxは元々パソコン用に開発され
たもので、パソコンとは大きく異なるアーキテクチャーの環境上では、必ずしも適切なOSと
は言えない。特に機能分散マルチプロセッサーの分野は、パソコンやサーバーで使われる
対象型マルチプロセッサーとは異なり、目標とする機器の仕様に合わせて、機能や仕様の
異なるプロセッサーを複数個組み合わせる場合がある。そうしたシステムをサポートする
ためには、従来では異なるOSを1つのシステムに組み込んで、アプリケーション間でプロ
セッサー同士の同期やデータ通信を行なうといった対応を行なっていた。しかしこれは開
発に手間がかかり、デバッグやテストも難しい。またリアルタイム性に悪影響を及ぼすこ
とも多く、OS側で機能分散マルチプロセッサーをサポートするものが望まれていたと高田
教授は説明する。
TOPPERS/FDMPカーネルはμITRON 4.0の仕様を元に、機能分散マルチプロセッサー向け
に機能を拡張して開発された。カーネル本体は高田教授の研究室に所属する本田晋也氏が、
TOPPERS/JSPカーネルをベースに開発した。μITRON仕様のAPIで各オブジェクトにアクセス
できるほか、μITRONベースのOSで開発されたソフトウェア資産を活用も可能である。タスク
などのカーネルオブジェクトはシステム内のいずれかのプロセッサーに属し、属するプロセッ
サーで実行される。プロセッサー間の通信や同期はタスクとは独立して行なわれ、タスクを
阻害しない。また割り込みやタスクスケジューリング処理は各プロセッサーごとに行ない、
あるプロセッサーが割り込み処理中で他の割り込み発生を禁じている状態でも、他のプロ
セッサーは割り込み処理を行なえるように設計されているという。コンセプトとしては、マルチ
プロセッサー向けとはいえシングルプロセッサー環境と同じような環境を構築できるように、
マルチプロセッサー独自の機能は極力設けないようにしている。またプロセッサー数の増加
や異なるアーキテクチャーのプロセッサーへの移植も容易になるよう設計されているとのことだ。(略)
記事全文、図、関連情報等はこちらです。
ASCII24ニュース 小西利明 2005年4月18日
http://ascii24.com/news/i/soft/article/2005/04/18/655453-000.html TOPPERSプロジェクトのプレスリリースはこちらから
http://www.toppers.jp/ 発表会「TOPPERSカンファレンス2005」 5月27日(金)
関連スレ:
【IT】移植性が大幅に向上したμITRON4.0仕様準拠リアルタイムOS「PrKERNELv4」
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1113624726/ 【IT】フリースケール・セミコンダクタi.MXプロセッサ向けダイナミックローディング対応次世代ITRON「TOPPERS-Pro」 DAT落ち
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1107757321/ 想定されるシステムとしては携帯電話のように、アプリケーションプロセッサーとベースバンド プロセッサーを別々に備えている、現在および近い将来のデジタル機器をターゲットとして いる。
リアルタイム性に悪影響を及ぼすことも多く、OS側で機能分散マルチプロセッサーをサポートするものが望まれていた
要するに、携帯で動画見てるときでも電話がかかってきたら鳴るという画期的なOS