【医薬】C型肝炎治療は新薬ペグイントロンが柱 厚労省が新指針
●常識の逆、免疫抑制剤を改良
昭和大などがC型肝炎治療へ研究
臓器移植に使われる免疫抑制剤「シクロスポリン」を元に作った物質がC型肝炎ウイルス(HCV)
を抑えることを東京都臨床医学総合研究所や昭和大などのグループが見つけた。現在の治療法
が効きにくい感染者への効果が期待できる。米肝臓学会誌・へパトロジtの4月号で報告した。
劇症肝炎の治寮でC型肝炎患者にシクロスポリンを使うとHCVが消えるのに着目したのは、昭
和大藤が丘病院の与芝真彰院長らだ。免疫力を高めてHCVを排除するC型肝炎治療の常識と
逆だが、インターフェロンとの併用で成果を上げてきた。だが、シクロスポリンで免疫を抑えるとさ
まざまな病気にかかりやすくなる問題があった。
都臨床研の小原道法・SARS、C型肝炎等感染症プロジェクトリーダーらは免疫抑制と違う働き
が効いていると考え、シクロスポリンから免疫抑制作用をなくしたDEBIO 025という物質がHCV
の増殖を抑えるかを調べた。HCVを感染させた人間の肝細胞や特殊なマウスにこの物質を与え
ると、細胞やマウスに害を及ぼさずにHCVが劇的に減った。
DEBIOO25を開発したスイスのベンチャー企業は、報告を受けてポーランドで臨床試験を始め
た。ウイルス量が1千分の1以下に減る成果が出ているという。
エイズウイルスとHCVに重複感染した患者にはインターフェロンが効きにくい。DEBIO O25には
エイズウイルスを抑える働きもある。
小原さんは「インターフェロンは高価な上、飲み薬にできないが、DEBIO 025は飲み薬になり
価格も安い。複数の薬を組み合わせれば、副作用を減らして効果を高められる」と話す。
(朝日07/5/14)