ニワトリの大量死につながることから、養鶏業者の死活問題になるとされている原虫病の
予防に向け、独立行政法人・産業技術総合研究所北海道センターの研究グループは二十八日
までに、ニワトリにエサとして食べさせるだけで効果を発揮する経口ワクチンの開発に初めて
成功した。原虫の遺伝子をジャガイモの細胞に組み込むことで、栽培の過程でワクチンが量産
され、葉や茎がそのまま薬として役立つ。従来の注射でのワクチン接種に比べ、ストレスで
産卵量が減る心配もない。同センターでは「技術的にはどの植物でも可能だが、地域産業の
振興を考え、道内で育てやすいジャガイモを選んだ」としている。
原虫病は、マラリアのように極小の原虫が、主に蚊を媒介してニワトリに感染し、赤血球に
入り込んで増殖、破裂させる。ニワトリは貧血になり弱って死んでしまう。
国内で食肉、産卵用に飼育されるニワトリ計約二億八千万羽のうち毎年、数千万羽が被害に
あっているといい、集団発生すると養鶏業者には死活問題になる。
研究グループは、原虫の遺伝子からワクチンの「設計図」に役立つ部分を抽出。ジャガイモの
遺伝子に組み込んで、ジャガイモ自身がワクチンを作り出すようにした。ワクチンはジャガイモの
茎や葉など全体にできるため、凍結乾燥させて粉末とし、通常のエサに混ぜるだけでよい。
実験では、エサの投与を二週間続けると原虫への抗体ができ、耐性が上昇することが確かめられた。
(以下略)
引用元:北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20050301&j=0047&k=200503010184