地球の「ハミング」検出による地震予知の試み
地球は「ハミング」している。人間の耳には聞こえないが、力強い海の波が、地中で
「ハミング」するような音のハーモニーを生み出すのだ。地震計を用いれば、この音は至
るところで検出できる。
地震学者から長年「雑音」扱いされてきたこの絶え間ない「ハミング」を新たに調べた
ところ、海の活動を知る手がかりになるほか、地球の構造に関する理解を深めるのに役立
つ可能性があることがわかった。いつの日か、地震の予知にも利用できるかもしれない。(中略)
「カナダの[東海岸にある]ラブラドル半島の沿岸にぶつかる海の波が、カリフォルニア
州に震動を生じさせている」と、シャロン・キーダー氏は説明する。キーダー氏は米航空
宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の地球物理学者で、『サイエンス』誌2月4日号に発表さ
れた今回の論文の執筆者の1人でもある。
キーダー氏によると、こうした作用を起こすのは海に起きる通常の波ではなく、よく似
た周期で振動している波が正面からぶつかりあったときの相互作用で発生する、異常な圧
力波なのだという。通常の波と異なり、この圧力波は海底に達しても力を失わない。こう
した波が海底に圧力を加えると、脈動[地震以外の原因による地殻の比較的規則正しい微弱
な震動]と呼ばれる小さな震動が起きる。脈動は秒速約4.0キロの速さで地中を何千キロも
伝わる。
脈動のもととなる圧力波が発生しやすいのは、冬の嵐が切り立った海岸線を襲った場合
だと、キーダー氏は語る。数地点の脈動データを分析すれば、三角法を用いて、太平洋や
大西洋の真ん中で発生した嵐の場所も特定できる。また、脈動を利用すれば、直接観測さ
れた海洋のデータがほとんど、あるいはまったくない場合でも、太平洋上のエルニーニョ
現象の規模を調べることができるのでは、と期待する研究者もいる。
キーダー氏によれば、1年間に波の脈動によって発生するエネルギーの累計は、地震によ
るエネルギーにも匹敵するという。また、低いレベルで常に発生しているこうした波のエ
ネルギーは、地球そのものの変化の検知にも利用できる。
地球の深部の様子を知るには震動に関するデータが必要だ。しかしこれまでは地震や大
爆発によって突発的に震動が起きたときしかこうしたデータは集められず、低周波の震動
を検知する地震計もなかった。
「最新のデジタル広帯域地震計なら海の脈動を検知できる」と言うのは、カリフォルニ
ア工科大学地震研究所の地球物理学者、ロブ・クレイトン教授だ。
長期にわたってある地域の震動データの変化を追えば、地球のごくわずかな変化も検知
できるとクレイトン教授は指摘し、「この方法を用いれば、多くの現象を検知できるだろ
う」と述べた。(略)
記事全文、写真等はこちらです。
Hotwired Japan 2005年2月4日 2:00am PT
Stephen Leahy [日本語版:矢倉美登里/長谷 睦]
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050209304.html Perspectives
OCEAN SCIENCE: The Ocean's Seismic Hum
Sharon Kedar and Frank H. Webb
Science 4 February 2005: 682-683.
http://www.sciencemag.org/cgi/content/summary/307/5710/682 関連スレ:
【地球】大気と海洋で奏でる地球のハミング DAT落ち
http://news16.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1096844830/ http://news.hauu.net/read.php?a=1096844830.10