妊娠中の女性が汚れた空気の下で暮らしていると、赤ちゃんに染色体異常が現れやすい
ことが分かった。米国立保健研究所(NIH)が15日、発表した。環境汚染物質が胎児
染色体に悪影響を及ぼすことを実証的に示した研究は、極めて珍しい。大気汚染の激しい
都市圏で、白血病などのリスクが高まることを示唆しているという。
米コロンビア大の研究チームが、ニューヨークの3地区の妊婦60人に測定器を着けて
もらい、自動車や暖房機器の排ガスなどに含まれる多環式芳香族炭化水素(PAH)という
化学物質を浴びている量を測った。
出産後に臍帯血(さいたいけつ)(へその緒の血)の白血球を調べた結果、日常的に
浴びているPAHが全体の平均以下だった女性の赤ちゃんでは、白血球1千個当たり
4.7の染色体異常が見つかった。これに対しPAHが平均を超えた女性の赤ちゃんでは、
染色体異常が7.2に上っていた。白血病など各種のがんの下地ともなる異常が目立ったという。
米国立環境衛生科学研究所のオールデン所長は「妊娠中に浴びた特定の環境汚染物質によって
染色体異常が起きうることを示す初めての研究だ。各種がんの予防につなげられるのではないか」
と述べた。
引用元:朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0216/TKY200502160209.html