1月末ごろには全天で21ある1等星が一晩で見えるなど、
天体観測の好適地である沖縄県石垣市に、今夏にも
新天文台が誕生する。国立天文台(東京都三鷹市)が
口径約1メートルの光学・赤外線望遠鏡を設置し、石垣市や
NPO(非営利組織)法人「八重山星の会」などと連携して
運営する。観望会や教育の場として活用するほか、
日本の惑星探査の支援にも役立てる。
石垣島は北緯24度に位置する。大気の揺らぎが少なく、
星が天に張り付いたように見える。特に夏は晴天率が4割を超え
天文観測には最適だ。本州では見えない五つの1等星や
南十字星など、南天の星々も観測できる。街の明かりを
1時間消して天の川を眺める8月の星祭りに1万人近く
集まるなど、天文観測への関心が高い。
計画は03年度に浮上。昨年9月の市議会で「説明が不十分」
などとしていったんは建設関連予算が否決されたが、島内の
高校生たちが建設を求める署名運動を展開したこともあり、
昨年末に可決された。早ければ今夏、標高200メートルほどの
前勢岳(まえせだけ)に完成する予定だ。
主に惑星研究の舞台になる。09年ごろに計画されている
日本の金星探査では地上から観測データを収集し、支援する
ことが考えられている。地元には観光の目玉としての期待もある。
星の会の新崎(あらさき)善國事務局長は「88ある星座のうち
島では84の星座を見ることができる。子どもも大人も、
自分たちの空の素晴らしさに気付くきっかけになれば、うれしい」
と話している。
http://www.asahi.com/science/update/0207/001.html