遺伝 : 新たな探査で失われた遺伝子を発見
遺伝子配列を徹底的に調べる新しい手法により、進化的に非常に古い小型の寄生生物で
あるナノ古細菌Nanoarchaeum equitansで、これまで知られていなかった遺伝子編成が明ら
かになった。この発見が示すように、他の生物のゲノムについても、遺伝子の見落としを
もう一度詳しく調べ直すべきだろう。
これまで、N. equitansのゲノムには、タンパク質を組み立てるトランスファーRNA(tRNA)
をコードするきわめて重要な遺伝子がいくつか欠如していると思われていた。しかしD Soell
たちは、2つに分離した遺伝子を探しているときに、この「失われた」遺伝子を発見した。
遠く引き離された2個の遺伝子のそれぞれに、tRNAの半分がコードされていたのである。
彼らは、この分離遺伝子から生じるRNAをつなぎ合わせると、機能するtRNAができること
を明らかにした。この結果は、tRNAが元々はこのような形で作られていたという見方を裏
付けている。
Nature Japan Highlight February 03, 2005
http://natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?id=912&issue=7025 遺伝:ナノ古細菌Nanoarchaeum equitansは、5′側半分と3′側半分に分かれた遺伝子から機能をもつtRNA分子をつくる
Lennart Randau, Richard Munch, Michael J. Hohn, Dieter Jahn & Dieter Soll
Nature 433, 537 - 541 (03 February 2005); doi:10.1038/nature03233
http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v433/n7025/abs/nature03233_fs.html