独立行政法人 産業技術総合研究所光技術研究部門は、東北大学多元物質科学研究所
中西 八郎 教授らのグループと共同で、磁場下で有機ナノ結晶の配向状態を制御・固定化した
バルク異方性材料の作製に成功した。
有機オプトエレクトロニクス分野では、新たな機能の獲得を目的として有機分子の向きや
並びを制御することが求められているが、無機物と異なり、これまでバルク状態で、
有機分子の向きを効率的に揃える技術は存在しなかった。
本研究では、簡便で適応性に優れた有機ナノ結晶の作製法である「再沈法」を用いて、
光重合性を持つアクリル酸エステルを分散媒とした有機化合物のナノ結晶分散系を作製し、
これに強磁場下で紫外光を照射することにより、バルク異方性材料(アクリル樹脂)の
作製に成功した。
作製されたアクリル樹脂は、ゴム状であるにもかかわらずその異方性は熱的に安定しており、
これまで実現されていなかったセンチメートル(cm)サイズのものでも容易に作製できる。
また、形状の自由度も大きく、様々な形状の樹脂を作製することができる。
今回開発した有機ナノ結晶の配向制御・固定化の技術は、他の有機物にも応用が可能であり、
今後は有機オプトエレクトロニクス分野のみならず、幅広い分野への利用が期待される。
この成果の詳細は、自然科学誌 Advanced Materials 1月31日号に掲載される。
引用元:産総研プレスリリース
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2005/pr20050128/pr20050128.html A Novel Method for Fixing the Anisotropic Orientation of Dispersed Organic Nanocrystals in a Magnetic Field
Advanced Materials Volume 17, Issue 2 , Pages 160 - 163
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/109876309/ABSTRACT