遺伝 : 重要な細菌プランクトンゲノムの解読
細菌プランクトンの1種であるSilicibacter pomeroyiのゲノム配列が解読された。この
プランクトンは海洋における食物網の重要な構成要素であり、ゲノム解読はこのクレード
では初めてである。塩基配列から、この生物が栄養の乏しい海水中で生き残るために、こ
れまで知られていなかった戦略をとっていることがわかった。この論文はまた、新たなゲ
ノム関連技術の海洋研究への応用に研究者の関心が高まっていることの表れでもある。
細菌プランクトンの研究が困難なのは、実験室での培養が難しい点にある。M A Moranた
ちはSilicibacter pomeroyiの小さなコロニーを培養し、ゲノムが1本の染色体と1個の大型
の環状プラスミドからなることを明らかにした。
遺伝学的解析から、このプランクトンは従属栄養的に、つまり他の生物のふところをあ
てにして暮らしながら、例えば有機化合物を食物として、それに一酸化炭素や硫化物のよ
うな無機化合物を自前で追加することで、取り込む栄養量を最大化できる能力を持つと考
えられる。このプランクトンはまた、速やかな成長や、藻類の産生する化合物の取り込み
に役立つ遺伝子も持っている。
Nature Japan Highlight December 16, 2004
http://natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?id=875&issue=7019 遺伝:Silicibacter pomeroyiのゲノム配列からわかる海洋環境への適応
Mary Ann Moran, Alison Buchan, Jose M. Gonzalez, John F. Heidelberg, William B. Whitman, Ronald P. Kiene,
James R. Henriksen, Gary M. King, Robert Belas, Clay Fuqua, Lauren Brinkac, Matt Lewis, Shivani Johri, Bruce
Weaver, Grace Pai, Jonathan A. Eisen, Elisha Rahe, Wade M. Sheldon, Wenying Ye, Todd R. Miller, Jane Carlton,
David A. Rasko, Ian T. Paulsen, Qinghu Ren, Sean C. Daugherty, Robert T. Deboy, Robert J. Dodson, A. Scott Durkin,
Ramana Madupu, William C. Nelson, Steven A. Sullivan, M. J. Rosovitz, Daniel H. Haft, Jeremy Selengut & Naomi Ward
http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v432/n7019/abs/nature03170_fs.html