超巨大ブラックホールからの鉄スペクトル:チャンドラが高温ガス中の鉄の量を測定
☆記事全文(英文):
http://chandra.harvard.edu/photo/2005/felines/ ☆画像等:
http://chandra.harvard.edu/photo/2005/felines/more.html#goods ☆以降、勝手に記事日本語訳デス
チャンドラによって得られた300以上の超巨大ブラックホールからのスペクトルを分析することにより、天文学者のチームがブラックホールの近くに存在する鉄(右側のイラストで明るい青で示されている)の量を測定することができた。
観測されたブラックホールは全て、最も淡く最も遠く離れたX線源が見られる北及び南チャンドラ・ディープ・フィールドの中にある。
上の左側のグラフは、約90億光年離れた50個のブラックホールのグループから得られたX線スペクトル(上側のパネル)と、約110億光年離れた22個のブラックホールから得られたX線スペクトル(下側のパネル)を表している。
スペクトル中のピークは鉄原子のX線放射であり、ブラックホール周囲に存在する鉄の量は90億年前と110億年前とでほとんど同じであることを示している。
50億年前から90億年前においても同様の結果が得られており、面白いことにブラックホール周囲の鉄の量は過去110億年間以上にわたってほとんど変化していないことになる。
このことは、これらの超巨大ブラックホールを中心に持つ銀河に存在する鉄の多くが、宇宙がまだ約20億歳にもなっていない、銀河も大変若い時代に作られたものであることを示唆する。
はっきりしたX線スペクトルのピークは、超巨大ブラックホールの周囲を回るドーナツ状のトーラスに含まれている鉄原子から放射される蛍光発光である。
ブラックホールのすぐ近くの高温のガスが放つ高エネルギーX線が鉄原子をより高エネルギーの状態へと励起し、すばやく低エネルギーのX線(蛍光X線)を放射しつつより低エネルギーの状態へと移行する。