致命的なAIDS疾患に新たな薬物治療?
AIDS患者を襲う致命的な疾患の1つを抗精神病薬で予防することができるかもしれない。
脳を侵す当該疾患の原因は、JCVと呼ばれるヒトポリオーマウイルスである。免疫系に障
害を持つ患者において、JCVは脳の神経繊維外側表面を攻撃する。AIDS患者の約5%が発症
する同疾患は、これまで治療不可能と考えられてきた。
今回、Gwendolyn Elphickらは、脳内化学物質であるセロトニンとドーパミンの受容体を
抑制する薬剤が脳の組織細胞をJCV感染から守ることに気づいた。彼らはセロトニン受容体
あるいはドーパミン受容体に限定的に作用する多数の薬剤を使って実験を重ね、セロトニ
ン受容体を抑制する薬剤が感染を防ぐことを証明した。
今回の発見から、ウイルスがセロトニン受容体を介して神経系の細胞に侵入しているこ
とが明らかになり、脳のJCV感染予防薬を使ってHIV患者を上手く治療できる可能性が示唆
された。
Science Highlight 2004年 11 月 19日(金)
http://sciencemag.jp/highlights/highlight.html The Human Polyomavirus, JCV, Uses Serotonin Receptors to Infect Cells
Gwendolyn F. Elphick, William Querbes, Joslynn A. Jordan, Gretchen V. Gee, Sylvia Eash, Kate Manley,
Aisling Dugan, Megan Stanifer, Anushree Bhatnagar, Wesley K. Kroeze, Bryan L. Roth, and Walter J. Atwood
Science 19 November 2004: 1380-1383.
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/306/5700/1380 関連ページ
進行性多巣性白質脳症(PML)
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/053_i.htm