■病原体死滅させる新薬に道〜防護壁作る酵素構造解明(04/11/13)
福井県立大生物資源学部の小田順一教授(69)=生物有機化学=とヒビ隆雄講師(40)=構造生物学=らの
グループは酸化ストレスから生物を守る化合物の生成にかかわる酵素の構造を解明し、科学専門誌
「米国科学アカデミー紀要」(10月19日号)に発表した。
化合物は病原体さえ守るため、その生成を止め、病原体を死滅させる薬剤の開発につながる可能性がある、としている。
この酵素は、γ(ガンマ)−グルタミルシステイン合成酵素(GCS)。GCSは、生物の細胞内にあり、
アミノ酸のグルタミン酸とシステインが結合する仲立ちをする。結合したグルタミン酸とシステインは、
さらに別のアミノ酸であるグリシンとつながり、化合物(ペプチド)のグルタチオンになる。
グルタチオンは生物や病原体を弱らせる酸化ストレスから身を守る「バリア」の役目を果たしており、
病原体内にあれば、その病原体を保護する。
研究グループは、00年に大腸菌のGCSの結晶をつくり、兵庫県にある大型放射光施設「スプリング8」で
X線構造解析をするなどの研究をしてきた。その結果、GCSの構造とグルタチオンの生成の仕組みがわかった。
GCSは存在する生物ごとに構造が異なるが、将来はがん細胞や原虫などの病原体のGCSに働きかけて
グルタチオンの生成を妨害し、病原体を酸化ストレスで死滅させる薬剤の開発につながる可能もあるという。
( ´`ω´)つ
http://mytown.asahi.com/fukui/news01.asp?kiji=4313 大腸菌のGCSの立体構造
( ´`ω´)つ
http://mytown.asahi.com/fukui/images/pic1_4313.jpg Published online before print October 11, 2004, 10.1073/pnas.0403277101
PNAS | October 19, 2004 | vol. 101 | no. 42 | 15052-15057
【Crystal structure of -glutamylcysteine synthetase: Insights into the mechanism of catalysis
by a key enzyme for glutathione homeostasis 】
Takao Hibi , Hiroshi Nii , Toru Nakatsu , Akira Kimura , Hiroaki Kato , Jun Hiratake and Jun'ichi Oda
( ´`ω´)つ
http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/101/42/15052 【PNAS -- Table of Contents (Oct 19 2004, 101 (42))】
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http://www.pnas.org/content/vol101/issue42/