改良技術により多胎妊娠を減らし、健康リスクを低減する
受精卵を一つだけ子宮に戻すことで多胎出産の比率を減らすことにより、医療従事者は
体外受精に伴う母と子供の健康に対する危険性も減らせるだろう。
高率で起こる双子、三つ子、あるいはさらなる多胎出産は、不妊治療における差し迫っ
た課題だ。高血圧といったような健康に問題のある女性にとって、多胎出産は未熟児状態
や低出生時体重で生まれてくる危険性を増加させる。
この高い多胎率は、施術者が通常複数の胚を子宮に移植することにより引き起こされ
る。この複数胚移植はその方が妊娠の可能性を高めると施術者、患者双方に広く信じられ
ているため続けられている。
しかしそうではないらしい、と10月21日フィラデルフィアで行われた米国生殖医学会議
でスウェーデン、MalmoeにあるIVF Klinken CURAのPia Saldeenらが報告した。彼らは、
最新技術により健全な胚を育成、選択することで、一つだけの胚を移植した後の妊娠率は二
つの胚を移植した場合と変わらないことを報告した。
スウェーデン保険当局は2003年1月、特例を除き、複数の胚を移植することを禁止してい
る。彼らはその前後のスウェーデンでの不妊治療の妊娠率を調べた。その結果、禁止後の
妊娠率がおよそ1/3で、それ以前とほぼ同じ水準であることを見いだした。一方、双子を妊
娠する確率は23%から6%に下がった。一つの胚を移植した場合でも、胚が自然に二つに分割
すれば双子を妊娠する。
米国の二つの不妊治療院からの報告も彼らの結果を裏付けている。健康な女性が二つで
はなく一つの胚を移植することを選んだ場合でも、妊娠率は70%を越える程度だった。
しかし、37歳を超える女性や、以前体外受精が不成功に終わった女性では、一つ以上の
胚を移植することには意味がありそうだ。これらのグループでは多胎妊娠する可能性が
ずっと低いからだ。
スウェーデンの他でも移植する胚の数を制限する動きが出てきており、先月、米国生殖
医学会議も米国内の関係機関に35歳未満の女性に三つ以上の胚を移植しないよう勧告する
ガイドラインを発表したばかりだ。
記事オリジナル、関連リンク等はこちらです。
[email protected] 22 October 2004; | doi:10.1038/news041018-15
Big success for single embryos in IVF
Helen Pearson
http://www.nature.com/news/2004/041018/full/041018-15.html 米国生殖医学会議
http://www.asrm.com/ O-320: New Legislation Imposing Single Embryo Transfer: Reduction of Twinning
with Remained Pregnancy Rate.
P. Saldeen, P. Sundstroem
http://www.asrm.org/Professionals/Meetings/philadelphia2004/final_program/wed_overview.html 関連ニュース
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http://news16.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1098524796/