肥満とII型糖尿病のつながり
肥満とII型糖尿病を結ぶ重要なつながりとして、小胞体(ER)ストレスの存在が確認さ
れた。II型糖尿病患者の80%以上は肥満であるが、これら2つのつながりは解明されていな
かったという。
Umut Oezcanらは、マウスモデルと細胞培養モデルを使って、まず肥満が肝臓と脂肪細胞
でERストレスを誘発し、続いてこのストレスが糖尿病の前兆であるインスリンのグルコー
ス低下作用の混乱を引き起こすことを証明した。ERストレスが高い遺伝子操作マウスに高
脂肪の食餌を与えると、対照群と比較してより高い比率で、肝臓および脂肪細胞内におい
てインスリンのグルコース低下作用に対する抵抗が認められた。
これらの結果から、ERストレスのシグナル経路は、II型糖尿病の新たな治療法開発にお
いて有用なターゲットとなる可能性が示唆された。ERは蛋白質合成と処理に関与する細胞
内膜組織のネットワークである。これまでの研究では、ER機能が栄養状態の変化といった
病的ストレスに敏感であることが示されている。
記事オリジナルはこちらです。
Science Highlight 2004年 10 月 15日(金)
http://sciencemag.jp/highlights/highlight.html#3 Endoplasmic Reticulum Stress Links Obesity, Insulin Action, and Type 2 Diabetes
Umut Oezcan, Qiong Cao, Erkan Yilmaz, Ann-Hwee Lee, Neal N. Iwakoshi, Esra Oezdelen,
Guirol Tuncman, Cem Goerguin, Laurie H. Glimcher, and Goekhan S. Hotamisligil
Science 15 October 2004: 457-461.
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/306/5695/457 関連ニュース
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