白血病など血液のがんや難病の治療法である骨髄、臍帯血(さいたいけつ)、
末梢(まっしょう)血の3移植について、日本造血細胞移植学会(小寺良尚理事長)は、
共通の基準で治療成績を評価する登録システムを06年1月から稼働させることを決めた。
インターネット上にデータを公開する。どの治療法を選ぶのがいいかを患者が考える際の
基礎データとして期待されそうだ。
新登録システムは、白血病の種類や病気の進行状況、治療成績の評価方法などを統一。
同学会に参加している移植関連施設の366診療科から、個別の治療データを集め、
移植した細胞の生着率や、拒絶反応の有無、患者の生存率などを解析する。
従来の主流は、骨髄移植。90年代後半から、赤ちゃんのへその緒からとれる
臍帯血の利用が急速に進んだ。さらに、血液にわずかに含まれる造血幹細胞を
利用する末梢血移植も認知されてきた。
また、移植前に抗がん剤や放射線などで悪い細胞を徹底的にたたく前処置をしない
「ミニ移植」でも効果があることがわかり、高齢者や合併症がある大人にも移植の対象が広がってきた。
手法別の治療成績は現在、各バンクや学会が独自にまとめている。評価方法がまちまちで、
データ比較は難しいのが実情だ。患者からは「どれが一番有効なのか」と戸惑いの声が出ている。
今後、統一基準でデータを蓄積することで、骨髄と臍帯血の両方の提供者が見つかった場合、
どちらがより高い生存率なのか、病気のどの時期にどの移植が効果的なのか、
などがわかるようにしていくという。
地域がん登録に基づく推計によると、白血病や悪性リンパ性の病気の患者は00年で
約2万3000人。学会などの推計では、3種類の移植を希望する人は合計で年間約3000人。
http://www.asahi.com/national/update/0831/004.html