燃料電池の「有害物質」からエネルギー
燃料電池で使用する水素を炭化水素から生成する新たな方法は、一酸化炭素という厄介
な副産物の発生という問題を解消してくれるかもしれない。一酸化炭素は燃料電池の触媒
を汚染するため、標準的な方法にはいわゆる「水性ガスシフト」反応を使った一酸化炭素
除去プロセスが組み込まれている。この反応では一酸化炭素を使ってより多くの二酸化炭
素と水素を生成できるが、あまりにも時間がかかる。
今回、Won Bae Kimらは、このプロセスは500℃以上で行われれる従来の水性ガスシフト
法より、一酸化炭素を水と水素に変換する反応速度が速く、これを省略して小型化を可能
にするとともに、追加エネルギー源として一酸化炭素を利用する方法を示した。当該プロ
セスでは、金ナノチューブあるいはナノ粒子の存在下室温で、一酸化炭素と水が還元可能
な「ポリオキソメタレート(POM、金属酸化物クラスター)」化合物と反応する。POM化合
物は金ナノ粒子の高い触媒活性を使って一酸化炭素を酸化させる。そして、還元された
POM化合物は燃料電池の陽極にて再酸化され電気を発生させる。
Science Highlight 2004年 8 月 27日
Energy From a Fuel Cell ''Poison"?
http://www.sciencemag.jp/highlights/highlight.html#4 Powering Fuel Cells with CO via Aqueous Polyoxometalates and Gold Catalysts
Science, Vol 305, Issue 5688, 1280-1283, 27 August 2004
W. B. Kim, T. Voitl G.J. Rodriguez-Rivera and J.A. Dumesic
http://www.sciencemag.org/cgi/content/short/305/5688/1280