★転移がん発見にクラゲの発光遺伝子
クラゲの発光遺伝子などを組み込んだ無害のウイルスを体内に注入し、特殊な光を当ててがん細胞を
光らせる方法を、岡山大学助教授らが設立したベンチャー企業が開発した。
死亡率の高い転移がんの発見に役立つ成果で、9月に発行される米国のがん学会専門誌に掲載される。
開発したのは岡山大病院遺伝子・細胞治療センターの藤原俊義助教授らが取締役を務める医薬品開発
会社「オンコリスバイオファーマ」(東京都港区)。
転移がんの発見は現在、CT(コンピューター断層撮影)装置や、放射線を当てて、がんを映し出す
PET(陽電子放射断層撮影)装置が使われている。しかし、CT画像では小さな腫瘍が、がんかどうかを
判別するのが難しく、PET画像も腎臓やぼうこうのがんは発見できない。
藤原助教授らは、オワンクラゲの発光遺伝子と、がん細胞が増殖する原因とされる酵素「テロメラーゼ」
に着目。無害化したかぜウイルスにクラゲの遺伝子の一部とテロメラーゼの一部を別々に組み込み、
がん患部の周辺に注射器などで同時に注入する。
テロメラーゼのウイルスはがん本体と転移した部分だけで増殖し、光る性質を持つクラゲのウイルスも
同時に増える仕組み。キセノン光を当て特殊なフィルターを通せば、がん細胞が黄緑色に光って見える。
マウスを使った実験では、複数の数ミリのがん細胞を光らせるのに成功、今後、厚生労働省の認可を
得て臨床試験を積み重ねる。藤原助教授は「肉眼で見えるので確実にがん細胞を取り除くことができる。
早期実用化を目指したい」と話している。
石川冬木・京都大大学院生命科学研究科教授の話「がんの遺伝子治療が注目される中、幅広い応用が
考えられる大きな成果と言える」
讀賣新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040828-00000403-yom-soci