遺伝情報伝達だけではない、合成RNAをナノ装置の足場に
2004年8月13日 2:00am PT パーデュー大学の研究者たちが、人間の体内にある物質を
使い、さまざまな形や大きさのナノ構造を構築することに成功した。生物学的なパズルを解く
1つのピースとして、この物質の重要性がますます高まっている。
その物質とは、RNA(リボ核酸)だ。RNAはDNA(デオキシリボ核酸)の情報を伝達する物質と
してよく知られているが、『ナノ・レターズ』誌のウェブ版8月号に掲載された研究報告による
と、パーデュー大学の研究者たちは、RNA分子をプログラムして分子が立体的ならせんや三角、
棒、ヘアピンなどの形を自ら形成するようにした(写真)。これらの構造は、ナノスケールの
装置に望ましい足場になるという。
研究者たちは、これらの構造の上に、診断チップや微小センサー、遺伝子運搬媒体といった
ナノスケールの装置が乗せられる日が来ることを期待している。
生物はもともと、各種のタンパク質やDNA、RNAを使って、独自のナノスケールの構造を作っ
ているので、パーデュー大学獣医学科のペイシュアン・グオ教授(分子ウイルス学)は、RNAを自
身の研究目的に利用することにした。RNAは極めて操作しやすいことから、グオ教授はナノ構造
の構築にはこれが最適の素材だろうと考えている。(中略)
グオ教授の発明は、DNAやRNAから作成されるナノ装置の例として最強の部類に入ると評価さ
れているが、潜在的な欠点が1つ存在する。RNAは時間が経つにつれて生物学的に劣化するのだ。
パーデュー大学の研究者たちは、RNAモーターの寿命を延ばす方法に取り組んでいる。
これに対しては、RNAを劣化に強くするために他の研究者がすでに開発している技術を借用で
きるかもしれない。RNA干渉(RNAi)と呼ばれるまだ新しい分野では、米アルナイラム・ファーマ
スーティカルズ社やオーストラリアのベニテック社など多くの企業が、RNAのさまざまな形を利
用して、病気の原因となる生物学上のプロセスを妨害しようと試みている。突然変異を起こした
遺伝子を修復する方法としてRNAを利用する実験を行なっているところもある。(略)
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Hotwired Japan 2004年8月19日
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040819302.html Bottom-up Assembly of RNA Arrays and Superstructures as Potential Parts in Nanotechnology
Dan Shu, Wulf-Dieter Moll, Zhaoxiang Deng, Chengde Mao, and Peixuan Guo
Web Release Date: 13-Aug-2004; (Letter) DOI: 10.1021/nl0494497
http://pubs.acs.org/cgi-bin/abstract.cgi/nalefd/asap/abs/nl0494497.html