気相成長ダイヤモンド薄膜で超伝導− ダイヤモンド超伝導デバイスへの第一歩 −
独立行政法人物質・材料研究機構ナノマテリアル研究所ナノ量子エレクトロニクス
グループの高野義彦主任研究員らは、早稲田大学理工学部の川原田洋教授らと共同で
気相成長ダイヤモンドにホウ素を大量に添加することにより、超伝導が出現すること
を世界で初めて発見した。
気相成長ダイヤモンドは、比較的簡便な装置でデバイス開発に適した薄膜状のダイヤ
モンド試料が得られるため、この20年間盛んに研究されている。純粋なダイヤモンド
は良質な絶縁体であるが、ホウ素やリンを僅かに添加すると半導体的な性質を示すこと
が知られている(ホウ素の濃度にして0.0001%程度)。このダイヤモンド半導体は、
現在主流のシリコンなどと比べてバンドギャップが大きいため、次世代の高周波高出力
デバイスや紫外線発光素子などの開発が期待されており、現在、世界的に研究が進めら
れている。しかし、高濃度にホウ素を添加した例は少なく、電気化学用電極などとして
一部に応用されているに過ぎず、殆ど研究されていなかった。
今回、ホウ素を炭素に対して2%と非常に高濃度で添加したダイヤモンドを合成した
ところ、絶対温度約8.7K(摂氏約マイナス264.5度)で超伝導を示すことを発
見した。今回の発見により、ダイヤモンド薄膜に超伝導という新しい機能が付加された
ことで、発熱の極めて少なく環境に優しい新デバイスの実用化が期待される。
本研究は、9月に仙台で行われる応用物理学会やイタリアで行われる国際会議
Diamond2004にて発表の予定である。
独立行政法人物質・材料研究機構プレスリリース 平成16年8月4日
http://www.nims.go.jp/jpn/news/press/press87.html 関連ニュース
超電導:ダイヤモンド薄膜での発生を確認 物質・材料研
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20040805k0000m040029000c.html 毎日の記事の
>4月にロシアの研究者が高温高圧で作られた多結晶ダイヤモンドで超電導が
>起こると発表した。
なんですが、ちょっとpolycrystalline diamondで調べてみたんですが
これなのかな?この論文だと超伝導してなさそうなんですが。
Synthesis of polycrystalline diamond in the boron carbide?graphite and
boron?graphite systems under high pressure and temperature
E. A. Ekimov, V. A. Sidorov, N. N. Mel'nik, S. Gierlotka, A. Presz
JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE 39 (2004) 4957 ? 4960
http://ipsapp007.kluweronline.com/IPS/content/ext/x/J/4861/I/183/A/31/abstract.htm