【脊椎動物においてダイサーはヘテロクロマチン形成に必須である】

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1( メ`ω´)φ ★

【Dicer is essential for formation of heterochromatin structure in vertebrate cells.】
Fukagawa T, Nogami M, Yoshikawa M, Ikeno M, Okazaki T, Takami Y, Nakayama T, Oshimura M.
Nature Cell Biology, The DOI number is 10.1038/ncb1155, (2004)
( ´`ω´)つhttp://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/ncb/journal/vaop/ncurrent/abs/ncb1155.html

【脊椎動物においてダイサーはヘテロクロマチン形成に必須である】
染色体分配を制御するRNA分子
〜がんの要因解明とがん創薬への期待〜
 
 RNA干渉とは進化的に保存された遺伝子発現抑制のメカニズムであり、2本鎖RNAがダイサー
という酵素により低分子干渉RNAへ切断されることにより引き起こされる。何故生物がRNA干渉という
機構を備えているかという生物学的意義を調べる目的で、ヒト21番染色体を保有するニワトリ細胞を
用いてダイサー遺伝子の条件的ノックアウト細胞株を樹立した。ダイサーの発現が失われた細胞では、
染色体分配の異常を伴い細胞死にいった。染色体分配の異常としては、特に染色体間の接着が失われ
ていた。その際、染色体分配に重要な働きを担うセントロメアのヘテロクロマチンを構成する繰り返し
DNA配列からRNA分子の転写が認められた。さらに、ダイサーが失われた細胞の染色体を調べると、
ヘテロクロマチンに特異的に結合するタンパク質、染色体間の接着に関与するタンパク質、細胞周期
チェックポイントに関わるタンパク質の異常な局在が認められた。以上の解析結果を考えると
脊椎動物細胞においてダイサーの酵素活性を引き金にして起こるRNA干渉は、染色体分配に必須な
役割を担うセントロメアのヘテロクロマチンの形成に必須な働きを果たしていると考えられた。
がん細胞などでは、染色体分配に異常が起きていることが分かってきており、染色体が正確に
次世代細胞へ伝えられることは、正常な細胞にとって極めて重要なことである。
 染色体分配の制御にRNA分子が関わっていることを明らかにした今回の研究は、がん細胞などで
生じる染色体分配異常の要因を解明し、将来的には染色体分配に注目した抗がん薬剤の開発も期待される。

( ´`ω´)つhttp://www.nig.ac.jp/hot/fukagawa0407-j.html
2名無しのひみつ:04/07/13 02:24 ID:Y/tt/JWO
3( メ`ω´)φ ★:04/07/13 02:24 ID:???

RNA干渉に関わるダイサーの機能を無くすと、姉妹染色体間の距離が長くなる。
図はヒト21番染色体のセントロメアを特異的に検出している(緑)。
( ´`ω´)つhttp://www.jst.go.jp/pr/info/info90/icons/zu2.jpg

ヒト21番染色体セントロメアの構成図。長い繰り返し配列がα21-1、α21-2、
サテライトIIIという3つの領域に分けられる。RNA転写はすべての場所から起きる。
ダイサーによって分解された低分子RNAを手がかりに、ヘテロクロマチンタンパク質HP1が
セントロメア領域のDNAに結合すると予想される。
【ヒト21番染色体セントロメアの構成図】
( ´`ω´)つhttp://www.jst.go.jp/pr/info/info90/icons/zu3.gif

細胞分裂の模式図。セントロメアは染色体分配に重要な働きを担う。
( ´`ω´)つhttp://www.jst.go.jp/pr/info/info90/icons/zu1.gif

RNA干渉
ある遺伝子と同じ配列を持つ2本鎖RNAを細胞へ導入するとその遺伝子の発現が選択的に抑制される
現象のことである。実際には、比較的長い2本鎖RNAがダイサーと呼ばれる酵素で22ntの大きさにまで
分解され、その低分子 RNAが複数のタンパク質と結合してRISC(RNA induced silencing complex)と
呼ばれる複合体を形成して遺伝子の不活化に関わっていると予想されている。バイオテクノロジーでは、
最初から22ntの二本鎖RNAを合成して細胞に導入して遺伝子の不活化技術として汎用されている。
その技術をRNAi法あるいはsiRNA法と呼んでいる。

セントロメア
細胞分裂の際、紡錘糸が結合する染色体の特殊領域を指し、動原体とも呼ばれ、そこに存在するDNAと
タンパク質の複合体から成る。ヒトをはじめとする高等脊椎動物の染色体においてセントロメアを構成する
DNAは、100bp程度を1単位とする繰り返し配列で構成されている。

ヘテロクロマチン
異質染色質ともいい、凝縮した構造を維持している核内の染色質をさす。この領域内は、
一般に転写が不活性であり、おもにセントロメア周辺にみられる。多くの場合構成DNAとしては、
繰り返しDNA配列(サテライトDNA)をもつ。最近、ヘテロクロマチン形成に関与されると思われる
タンパク質群(ヘテロクロマチンタンパク質:HP1)が同定されており、HP1が局在していないと
ヘテロクロマチン構造が維持できない。

 
4( メ`ω´)φ ★:04/07/13 02:25 ID:???

【ライフサイエンス辞書プロジェクト[LSD]】
( ´`ω´)つhttp://lsd.pharm.kyoto-u.ac.jp/ja/
【バイオ研究MegaLink:オンラインツール】
( ´`ω´)つhttp://www.kenkyuu.net/megalink-06.html
5名無しのひみつ:04/07/13 02:38 ID:npFla2Tz
ソースをある程度理解したうえで立ててるのかい
6( メ`ω´)φ ★:04/07/13 02:40 ID:???

【Novartis Pharma in the Japan・バイオテクノロジー入門】
( ´`ω´)つhttp://www.novartis.co.jp/baio/
7( メ`ω´)φ ★:04/07/13 02:48 ID:???
>>5
癌におけるRNAの関与の大きさが分かってきたくらいは分かる。
癌細胞などでは、染色体分配に異常が起きて、染色体が
正確に次世代細胞へ伝えられない。
染色体分配の制御にRNA分子が関わっていることを明らかにした今回
の研究は、がん細胞などで生じる染色体分配異常の要因を解明し得たならば、
染色体分配に注目した抗がん薬剤の開発もできるだろう。
8名無しのひみつ:04/07/13 02:49 ID:2m59NLtj
>>1
やっぱりな、俺もそう思っていたよ
9( メ`ω´)φ ★:04/07/13 02:51 ID:???
スペーサー領域、反復配列、ヘテロクロマチンなどはよく分からんがねw
10( メ`ω´)φ ★:04/07/13 02:57 ID:???
(ダイサー)
RNA干渉の引き金になるタンパク質
11( メ`ω´)φ ★:04/07/13 03:08 ID:???
【研究成果の概要】
(背景)
 全ゲノム情報を有する染色体が正確に複製、分配されて安定に次世代細胞へと受け継がれていくことは、
生物にとって最も基本的な性質である(図1)。染色体分配機構のどこかに狂いが生じると、染色体数の異常、
がん化など生物に対して重大な悪影響が生じる。したがって、染色体分配の分子機構を解明することは、
染色体の不安定性の要因を明らかにし、がんの重要な特性の理解につながる。染色体分配は、両極から
伸びた紡錘糸が染色体の特殊領域を捉えることによって起こる。その特殊領域はセントロメア(用語説明)と
呼ばれ、繰り返しDNA配列と複数のタンパク質から成っている。
 また、セントロメア周辺のDNA構造はヘテロクロマチン(用語説明)と呼ばれ、遺伝子発現が抑制される
ことも知られている。セントロメアの形成機構について多くの研究があるが、どのようなメカニズムで
セントロメア形成が起こるかについては不明な点が多い。

(経緯)
 当研究者は、セントロメアの形成機構を明らかにする目的で以前から、セントロメアを構成する
DNAやそこへ結合するタンパク質群の解析を行ってきており、特にセントロメアを構成する繰り返し
DNA配列に注目してきた。ところで、最近のバイオテクノロジーでは欠く事のできない技術の一つに
RNA干渉法がある。RNA干渉とは、ある遺伝子と同じ配列を持つ2本鎖RNAを細胞へ導入するとその
遺伝子の発現が選択的に抑制される現象のことである。分裂酵母や植物では、セントロメアの繰り返し
DNA配列から2本鎖RNAが形成されることが報告されていた。そこで、ヒトのセントロメアを形成する繰り
返し配列から2本鎖RNAが形成される可能性を考えて、RNA干渉機能をなくしたヒト21番染色体を保有する
ヒト−ニワトリ融合細胞を作成した。

(論文の概要)
 今回の研究では、RNA干渉の引き金となる、比較的長いRNA分子を短いRNA分子に分解する
はたらきをもつタンパク質(ダイサー)に注目し、その表現型を詳細に検討した。ダイサーの発現が
失われた細胞では、染色体の不等分配をはじめとする細胞分裂の異常が観察され細胞死にいたった。
特に、染色体分配の異常としては、姉妹染色体間での接着が失われていた。その際、染色体分配に
重要な働きを担うセントロメアのヘテロクロマチンを構成する繰り返しDNA配列から高分子RNAの転写が
認められた (図3)。また染色体を調べると、ヘテロクロマチンに特異的に結合するタンパク質、染色体間の
接着に関与するタンパク質、細胞周期の進行制御に関わるタンパク質の異常な局在が認められた。
以上の解析結果を考えると高等脊椎動物細胞においてダイサーのはたらきによって起こるRNA干渉は、
染色体分配に必須なセントロメアのヘテロクロマチン形成に重要な役割を果たしていると結論された。

( ´`ω´)つhttp://www.jst.go.jp/pr/info/info90/index.html
12名無しのひみつ:04/07/13 03:11 ID:npFla2Tz
ダイサーと云う酵素を造れなくなると、まわり回って細胞が癌化するのか?
難しいなぁ
13名無しのひみつ
癌がどうのこうのというのは要するに、実用に結びつくかもしれないよ、だから予算くださいねということであって
一番どうでもいいところだ。研究してる本人達もそんなこと本気で考えてない。