■接着剤使わず一括積層 三菱樹脂、デンソーが集積回路用フィルム
三菱樹脂は28日、LSI(大規模集積回路)などに使われる多層基板用フィルムを、デンソーと共同で
開発し、8月から本格出荷を開始すると発表した。熱を加えることで軟らかくなる樹脂を使用しながら
高い耐熱性を実現。60層に及ぶ多層基板を、接着剤なしで一括して積層できるため、基板の製造コストを
低減できる。
初年度は1億円、2006年度には20億円の売上高を目指す。
開発した「IBUKI」は、携帯電話といった電子機器に搭載されるLSIなどに使用される多層プリント基板
向けのフィルム。多層プリント基板は、銅箔と樹脂から構成される。基板となる銅箔に電子回路のパターンを
転写することで形成されているが、電子機器の高性能化に伴い、多層化が進んでいる。
多層プリント基板は従来、絶縁層と配線層を1層ずつ接着剤で積層して製造していた。
新開発フィルムは、接着剤を使わずに熱を加えることで樹脂を軟らかくし、一括して積層できるのが特徴だ。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と呼ばれる樹脂をベースに特殊な樹脂を開発。
フィルムを積層するときには、200度で軟らかくなるが、多層フィルムが形成されると結晶化して
耐熱性が高まる。
基板の積層工程を単純化できるため、多層プリント基板を低コスト、短納期で生産できるとして、
デンソー以外にも販売する計画だ。当初は、年間12万平方メートルの生産設備を新設し、06年度をめどに
100万平方メートルに増産する。
http://www.business-i.jp/news/chemical/art-20040628203936-SFERSAKLEF.nwc