■がん治療前に卵巣組織凍結、戻して世界初の妊娠
ベルギーのルーバン・カトリック大学病院で、がんの治療前に卵巣組織を凍結保存した女性が、
移植手術を受けた後に妊娠したことが29日分かった。ロイターなどが伝えた。
凍結保存した卵巣組織の移植後に妊娠した例は世界初。ドイツ・ベルリンで開催中の欧州生殖医学会で
報告された。
がんの化学療法や放射線治療を受けると、精巣や卵巣機能が失われ、不妊になる可能性が高い。
このため治療前に精子や卵子を凍結保存し、治療後に融解して使用する技術が開発されている。
この女性(32)は7年前、悪性リンパ腫と診断され、化学療法を受ける前に右卵巣組織の一部を
摘出する手術を受けていた。組織を凍結保存しておき、治療後の昨年、卵巣組織を元の卵巣に移植した
ところ、4か月後に月経が戻り、自然妊娠した。現在妊娠25週に入り、10月に出産予定という。
移植前は卵巣が機能していなかったため、移植した卵巣が働いたと見られる。
卵巣の凍結保存技術が確立されれば、がん治療を受ける患者にとって朗報となるほか、
閉経後の女性が妊娠することも可能になる。
日本では、日本不妊学会ががん治療前の精子凍結について認めているが、凍結保存が難しい卵子
卵巣については技術が確立されていないとして、一般的に行われていない。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040630i203.htm