土星の衛星タイタンの大気に地球と同じようなジェット気流があることを国立天文台と
米航空宇宙局(NASA)が29日、地上からの観測で初めて突き止めた。米ハワイ州に
ある「すばる望遠鏡」にNASAが開発した装置を取り付けることで成功した。米国の探
査機カッシーニは7月1日(日本時間)、土星の周回軌道に入る予定で、来年1月には子
探査機「ホイヘンス」を切り離しタイタンに降ろす。探査機と地上の両方で観測すること
で、より良好なデータが得られるという。
観測はタイタンの大気に含まれる炭化水素に着目した。炭化水素が出すかすかな赤外線
放射を検出し、気流に乗って運ばれる際に生じるごくわずかな周波数の変化を測定した。
データの分析で、タイタンの高緯度の上層大気に自転と同じ向きに吹く、時速756キロ
の激しいジェット気流が存在することが分かった。赤道付近は高緯度よりも穏やかだった。
タイタンは厚い大気を持ち、誕生直後の地球の大気の成分に似ているとされる。国立天
文台の唐牛(かろうじ)宏・ハワイ観測所長は「ホイヘンスの局所的だが詳細な情報とす
ばるの全体的なデータの両方が得られる。タイタンの大気の成り立ちが分かれば、地球に
生命が誕生した謎を解明する手がかりが得られるだろう」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040630-00000067-mai-soci