■セロトニン再吸収阻害薬 (SSRI) 耐性のうつ病患者に ziprasidone と SSRIを併用した時の反応
うつ病患者のおよそ 30 - 50% は、選択的セロトニン (5-HT) 再吸収詐害薬 (SSRIs) に対して、
部分的反応を示すか、あるいは全く反応を示しません。さらに、よい反応を示した患者には症状の
一部が残っている場合が多く、再発の危険も大きくなっています。したがって難治性うつ病が大きな
問題となっています。非定型の向精神薬である ziprasidone は、強力な 5-HT 1A 受容体アンタゴニスト
であり、5-HT1D、 5-HT2、そしてドパーミン D2 レセプターに対して強い親和性を持っています。
最近、SSRIs による治療効果のなかった大うつ病患者に ziprasidone を投与し、その影響が調べら
れました。今回の試験には 18 から 65 才までの男女が参加し、DSM-IV によって大うつ病であると
評価されました。みな SSRI 療法に反応せず失敗した人たちで、SSRI に加えて ziprasidone を使った
オープンレベルの治療を 6 週間受けています。また、ハミルトンうつ病評価尺度 (HAM-D-17) を使って
全スコアを計算し、臨床的反応率が評価されました (この研究の間、50% 以上の患者でうつ症状が緩和
されました )。
20 人の患者のうち 13 人 (65%) が 6 週間にわたる試験を終了し、不寛容な SSRI の服用を休止し、
特に副作用が見られなかったにもかかわらず服用を中断した理由が追跡されました。治療を終えた中で
8 人 (61.5%) が薬に対する反応を示し、5 人 (38.5%) の症状が寛解しました。すべての患者で包括解析を
行ったところ、50.0% が反応を、25.0% が寛解を示しました。特に ziprasidone による改善は早く、SSRI との
併用を始めて 1 週間で効果が現れ、持続しました。
したがって、SSRI があまり効かない大うつ病患者に対しては、ziprasidone の併用が一つのオプション
として考えられます。これはとても重要な発見であり、今後はさらに大規模のプラセボ管理試験を行う
必要があるでしょう。
Papakostas GI, Petersen TJ, Nierenberg AA, Murakami JL, Alpert JE, Rosenbaum JF, Fava M. Ziprasidone augmentation of selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs) for SSRI-resistant major depressive disorder. J Clin Psychiatry 65: 217-221, 2004
http://www.depression-webworld.com/japanese/news80.htm