3万5千あるヒトの遺伝子のうち、たった67の遺伝子の活性が通常の細胞を癌化させるのに必要だった。
これら67の遺伝子は、通常細胞から癌細胞への変化の引き金になるとみられる「癌のメタサイン」と
呼ばれる中核的遺伝子セットから構成され、遺伝子のリストとそれらの同定に使われた新しいデータ
ベースがミシガン大学総合癌センターの研究者らによって6月7日号のPNASに発表された。
メタ分析と呼ばれる統計分析手法をもちいて、さまざまな研究者から発表された12種類のタイプの癌の
一つに関連する特定のパターンを示す遺伝子の活性を示す40のデータセットを調べた。その結果、67の
活性化された遺伝子からなる共通する転写プロファイルが組織の由来によらず研究に用いたほぼ全ての
癌組織試料でみられた。
この論文はさまざまな研究者をもとに複数の癌のマイクロアレーデータセットをまたいで遺伝子活性に
共通なパターンがあることを報告した最初のものです。これらの遺伝子とそれに付随するタンパク質は、
さまざまな種類の癌を正常な組織から識別する分子コンポーネントであり、たくさんの種類の癌で働いて
いることがわかったので、抗がん剤のよい目標となるとみられる。
また、同研究者らは他にもう一つ悪性で侵襲性の未分化癌で共通にみられる遺伝子活性パターンを示す
69個の遺伝子からなるメタサインも同定した。このパターンは成長が遅くコントロールの容易なよく
分化した癌で見つかっているものとは異なっていた。
このメタサインの妥当性を検証するため、研究を始めたときには利用できなかった他の12の遺伝子発現
データベースを検索した。9つのうち、3つの新しいタイプの癌を含む7つのデータセットで、このメタ
サインの最初のものは正常組織から癌を特異的に識別した。
この研究で用いられたONCOMINE(癌鉱山?)と呼ばれる癌マイクロアレーデータベースは、ミシガン大学
医学部、ジョンズホプキンス大学医学部、および、インドのバンガロールバイオインフォマティクス研究所に
より開発され、登録した大学研究者には無料で公開されている。
ONCOMINE
http://www.oncomine.org ソース
http://www.med.umich.edu/opm/newspage/2004/67genes.htm Large-scale meta-analysis of cancer microarray data identifies common transcriptional
profiles of neoplastic transformation and progression.
Rhodes DR, Yu J, Shanker K, Deshpande N, Varambally R, Ghosh D, Barrette T, Pandey A, Chinnaiyan AM.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Jun 7 [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=15184677 依頼1-122