白血病治療など、提供の危険ない臍帯血移植が急増
赤ちゃんのへその緒から危険なしに採れる臍帯血(さいたいけつ)を利用して
白血病などを治療する非血縁者間の臍帯血移植が、03年度に前年度の2.4倍と急増し、
非血縁者間の骨髄移植に件数でほぼ並んだことが、日本さい帯血バンクネットワークなどの
まとめで分かった。治療の機会を広げているが、骨髄移植と比較できる成績などでは情報が少なく、
同ネットは治療成績の公開などの検討を始めた。
臍帯血や骨髄に含まれる造血幹細胞は、様々な血液細胞のもとになる。
白血病などの血液病で造血幹細胞の移植が必要な患者は、年間2000人を超す。
非血縁者間の臍帯血移植は5年前の98年度には約80件だったが、03年度には出産時の
臍帯血採取が軌道に乗ったことなどから提供数が増え、移植件数も695件に急増した。
非血縁者間の臍帯血移植は、国内では97年2月に初めて実施された。
採取できる細胞数が少なく、当初は小児の白血病が治療の中心だった。
その後、(1)増殖能力が高く一定量以上あれば大人にも移植可能
(2)骨髄移植と違い白血球型(HLA)がぴったり一致しなくても生着率が大きく変わらない、
などから大人への移植が増え、5年前は5%程度だったのが、03年度には約8割に達した。
臍帯血バンクは全国で11カ所あり、わずか5年で急速に伸びてきたことから、
移植した細胞の生着率や、移植後の生存率などを、統一した基準で把握できていない。
このため、治療成績を骨髄移植と比較するのが難しい。同じ疾患でも病院や医師によって、
骨髄か臍帯血かで、異なる道を選ぶ可能性が否定できない。
骨髄移植は実施まで平均170日と時間がかかり、登録や検査などで数十万円かかるなど、
患者負担が大きく、近年、非血縁者間の移植は年間750件前後と横ばい。
臍帯血移植を希望する患者もおり、患者が治療法を選択する際の情報提供が
不可欠となってきている。
http://www.asahi.com/science/update/0611/002.html