資生堂は、細胞膜の表面に存在するカルシウムやナトリウムイオンの通り道であるイオン
チャンネルが皮膚の表皮細胞にも存在し、神経とは別に、外部からの刺激情報を周辺の
細胞に伝達していることを発見した。外部の情報がどのようにして表皮内部に伝達されて
いるかについては、分かっていなかった。(中略)
外部から刺激を肌に与え、表皮細胞のイオン濃度が変化することを、皮膚組織の特殊な
染色方法によって確かめた。表皮細胞に存在するイオンチャンネルが情報を伝達すること
で、外部の環境変化に肌が対応する。
詳細は明らかになっていないが、資生堂は、表皮の新陳代謝(ターンオーバー)や、免疫
反応によって体内で作られるサイトカインと呼ばれるタンパク質の生成、色素細胞であるメラ
ニンの生成といった生体反応が、イオンチャンネルによる情報伝達で引き起こされるとみている。
イオンチャンネルの機能は、刺激を受けたときの興奮型と抑制型の2種類のバランスのうえで
成り立っている。ただ、加齢や過度のストレスによって、興奮型が相対的に強くなり、このバラン
スが崩れる。このため、情報伝達がうまくいかずに、肌の乾燥やバリア機能の低下につながる。
資生堂は、絹繊維の芯部にあるフィブロインと呼ばれるタンパク質から作られる成分が、抑制
型イオンチャンネルを活性化し、バランスを調整することを発見。同成分を配合したスキンケア
化粧品の開発に着手しており、近く発売する計画だ。
FujiSankei Business i. 2004/6/10
http://www.business-i.jp/news/bio/art-20040609210225-MRMXKNUEHJ.nwc