絶滅の危機にあるアホウドリの再生に向け、米国政府が保護・繁殖策の検討を
要請していた国際研究チームは、新たな繁殖地の有力候補として、東京都の
小笠原諸島を選定した。最大生息地の伊豆諸島・鳥島が噴火して繁殖地が破壊
される危険に備えるもので、新たな試みとして注目される。
米国政府は、鳥島などの繁殖地からアラスカ州などへ飛来するアホウドリを法律
で絶滅危惧(きぐ)種に指定し、具体的な回復計画作りを義務付けている。このため、
日本の研究者も参加して「日米アホウドリ再生チーム」を2002年に発足。火山の
ない島を新たな繁殖地にすることを検討した。
その結果、鳥島の南約300キロ・メートルにあり、1930年代までアホウドリが生息
していた小笠原諸島を新しい繁殖地候補に決めた。ただし、周囲の環境を覚えるの
が早いひなを新しい繁殖地に移送・放鳥するのは容易ではなく、鳥島のアホウドリを
さらに増やすことで、小笠原諸島などに自然定着させる現在の手法も並行して進める。
研究チームは他の研究者などの意見も聞いたうえで、7月中にも原案を作成、米国
政府に提案する。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040601i505.htm