国の天然記念物で沖縄本島北部だけに生息する飛べない鳥ヤンバルクイナが、急速に減って
いる。五月に入ってからは交通事故死も相次ぎ、沖縄県獣医師会は「非常事態宣言」を出した。
「あと五―六年で絶滅する恐れがある」(同獣医師会)最大の原因は、天敵マングースの北進。
同県は北上を食い止めようと、捕獲用網かごを設置して駆除に乗り出しているが、捕獲数以上
に増殖しており、関係者は焦りの色を濃くしている。
(中略)
外来種のマングースは一九一〇年、ハブやネズミの駆除を目的に、インドから沖縄本島南部に
十七匹が放獣された。繁殖力が強く天敵もいないため徐々に北進。それに合わせるようにヤン
バルクイナの生息域の南限も北上し、活動範囲は狭まってきた。
雑食性のマングースは、ヤンバルクイナだけでなく、オキナワノボリトカゲやハナサキガエルなど
の希少野生生物も捕食していることが確認されている。
沖縄県が本島北部でマングースの本格的な駆除を開始したのは二〇〇〇年。しかし「本島全体
で五万匹がいるとみられ、年間三割ずつ増殖するため、生息数減少にはほど遠い」(県自然保護
課)という。
逆にヤンバルクイナは最北端の村である国頭(くにがみ)村だけでしか見られなくなり、一九八一
年の新発見から二十三年で、生息域は四割狭まり、個体数も約千羽へと半減した。
(以下略)
ソース(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/news003.html