1 :
でぃらっく:
どっかのスレッドで「ディラックの海」なる言葉を見掛けたのですが
それって、どんな事を意味してるの?
わかりやすく教えてくださる方お願いしますm(__)m。。
ディラックってこの世界が正のエネルギーをもつ世界だとすると
真空に負のエネルギーをもつ電子がいっぱいつまってる。
みたいな事言った人ですよね?
その「負のエネルギーをもつ電子がつまってる」状態が
ディラックの海だが。
さらに説明が必要ならば、聞いてくれ。
3 :
でぃらっく:2000/07/05(水) 03:26
あら、それがディラックの海なのね。。(^^;
しかしながら、そのディラックの海ってほんとに存在するの?
4 :
名無しさん:2000/07/05(水) 05:57
この世界がそうだ。
真空と言うのは、普通何もない状態と考えられるが、
実は負エネルギーの電子が無限につまってると言うのが
ディラックの提案だ。
定式化によってはディラックの海とか考えなくても良い
場合もあるが、しかし結局はディラックの海があると
考えたのと似たようなことになるな。
ディラックの海から電子を一つ叩き出したときに
できる「穴」は、電子と同じ質量で反対の電荷を持つ
陽電子と考えられる。ディラックは量子論と相対論を両立
させるようにディラック方程式を導いた。ところがこの
方程式には負エネルギーの解と言う一見致命的な欠点があった。
しかしそこで終わらないのがディラックの凄いところで、
負エネルギー解の困難を回避するためにディラックの海
という考え方を提案した。
そこから、ディラックは陽電子の存在を予言したんだな。
当初は皆信じなかったが、これが後ほど実験で実際に確認された
わけだ。
そういう意味で「ほんとに存在する」とは言える。
5 :
名無しさん:2000/07/05(水) 07:01
ディラックの海はあくまでその場しのぎの考え方じゃあないの?
6 :
名無しさん:2000/07/05(水) 07:06
ディラックの海ってらば電子?
7 :
>5:2000/07/05(水) 07:09
ディラックの海が、その場しのぎならば、
ニュートン力学やQEDもその場しのぎなのか?
マジレス求む。
ディラックの海をexplicitに考えなくても
定式化できる、と言うなら特に反対はしないが。
8 :
名無しさん:2000/07/05(水) 14:50
ディラックの海は結局現在では否定されてます。
・ボゾンに適応不可能
・負の無限大のエネルギーは一般相対論では無視できない
場の量子論をきちんと適応すれば粒子・反粒子の存在は
ちゃんと出てきます。
QEDは輝かしい成功を収めましたが
「漸近自由」な理論でないことから
何らかの究極理論の低エネルギー近似に過ぎないと
考えられています。
9 :
>8:2000/07/06(木) 00:59
をいをい、最初からボソンに適用できる話ではあるまいて。
vacuum energyの問題は、他の定式化でも完全に解決するわけで
あるまい。
場の量子論でディラックの海から逃げたつもりになっても、
結局似たようなことをやってるわけで、ディラックの海の
効果は例えばアノマリーなどに現れるわけだな。
QEDも「近似に過ぎない」し、ニュートン力学もそうだな。
だからと言ってそれらが「否定された」とは言えまいて。
10 :
碇しんじ:2000/07/06(木) 01:08
そーいえば、「エヴァンゲリオン」で
「ディラックの海」ってば出てきたよね。
あれって何のこと示してたっけ??
ずいぶん前に見たから忘れてもーた。。(−−;
11 :
8:2000/07/06(木) 01:38
>9
まあ確かに場の量子論でもΛ^4のvacuum energyを捨てますね。
けどSUSYでそれはM_{SUSY breaking}^4に落ちると。
だから大分状況はましなんではないでしょうか。
最近ではextra dimensionとかbrane worldとかによって
small vacuum energy=cosmological constantを
説明しようとしてますよね?
だから場の量子論の拡張としてvacuum energy problemは
解けると思ってるんですが。
ディラックの海は歴史的には意義がありますが
場の量子論が完璧に構築された現在ではたんなるその近似理論
「相対論的量子力学」の無理矢理の解釈法、
じゃないんですかねえ。
12 :
物理君Jr.:2000/07/06(木) 04:25
>9
ごめんなさい、僕も詳しくないので教えてほしいのですが、
ディラックの海の解釈ってまだ何か意味がある、というか、
歴史的なもの以外に重要なんでしょうか?
>11
だからvacuum energyはまだ解決してないっしょ。
誰も場の理論で考えてはいかんとは言っておらんよ。
たとえばQEDが asymptotic freeでないからと言って
意味がないというわけではあるまいってことなんだが。
正準形式の場の量子論でnormal orderingを考えるのと
ディラックの海を考えるのはほとんど同じことでしょ?
"normal orderingをとります"と言ったほうが
ディラックの海を考えるより気持ち良ければそれは自由だが。
normal orderingをしてもやっぱり紫外発散が全部消せるわけ
じゃなくて、たとえばアノマリーなどの物理的効果も出てくる
わけだな。
で、アノマリーなんかはディラックの海で考えると
何でそういうものが出てくるのか、簡単に理解できるな。
しつこいようだが、他の理解をしてはいかんとは言ってないぞ。
ついでに言えば、たとえば一次元の非相対論的な
電子系の低エネルギー有効理論が 「相対論的」な
ディラックフェルミオンで書ける、と言うときには
本当にディラックの海があるわけだよね。
14 :
11:2000/07/06(木) 13:34
>13
なるほど。そのとうりですね。
Λ^4(要するにnormal ordering)をとるか、
負のエネルギー解釈をとるか、ですか。
勉強になりました。
で、質問なんですが、AnomalyってDirac seaで
簡単な解釈ができるんですか??
なんか例があれば教えてください。
15 :
タケコプター:2000/07/06(木) 19:58
ドラえもんの4次元ポケットも似たようなものですか?
16 :
>15:2000/07/06(木) 21:57
なんじゃそりゃ!
17 :
>14:2000/07/13(木) 00:24
アノマリーと言ってももちろん conformalとかでなくて
カイラルアノマリーのことね。
この話は結構簡単だが、せっかくだから、
Treiman@` Jackiw@` Zumino@` Witten 著の
の Current Algebra and Anomaly (物理学科なら
一冊はどこかにあるんでないか)の中にある
Jackiwのレクチャーでも読んでみると良いかも。
18 :
14:2000/07/14(金) 00:31
どうもです。探して読んでみます。
カイラルアノマリーは経路積分の測度がカイラル変換で
不変でないから出てくるという見方しか知らなかったなぁ。
まさかディラックの海から出るとは。
19 :
名無しさん:2000/07/20(木) 16:20
>10@`15
そうそう、「エヴァ」見た限りではそんな感じに見えた。
ここを(解る範囲で)読んで見たけど、どうも俺が思ってた物とは別物みたい
(元々説明が不充分なのが、作品全体のポリシーなんだろうけど。)
誤解が有るのはお互い損だと思うので、専門の人の”解りやすい”解説求む。
(具体的に、「エヴァ」の奴と、「本物」の違いを”わかりやすく”お願いします。)
20 :
名無しさん:2000/07/21(金) 10:39
でもさ、ディラック方程式の結果としてディラックの海を想定せざるをえなくなり、
反物質もそこから予言したら粒子加速器でほんとに出来た、っていう話のどこがおか
しいんですか?陽電子できたじゃない。
ちなみに、エヴァはただのバカ。あんなの信じてはいけないです。
21 :
20 補足:2000/07/21(金) 10:44
私のかじっただけの知識ではエヴァのディラックの海解釈を具体的に否定できないの
ですが、別の話で「ポジトロンスナイパーライフル」ってのがあったね?ポジトロンて
いうのは陽電子だから、発射したとたんに対消滅するでしょうに。
あと、輸送機から投下されて着地したエヴァが「後ずさり」して着地したり。まーとにかく
無茶苦茶だよあのマンガ。どうせ嘘つくなら、中途半端に現実のことを持ち出さずにスタート
レックみたいに完全に仮想の話&現実の正しい解釈で作ればいいと思うんだが、、、
22 :
名無しさん:2000/07/21(金) 12:46
エヴァはディラックの海という言葉を使っただけです。
そのときの後ろの図表もディラックの海と関係ないものです。
23 :
名無しさん:2000/07/21(金) 13:19
わしゃずっと、虚数空間のことだよ思ってたよ。
違うのかい?
24 :
名無しさん:2000/07/21(金) 13:21
ぜんぜんちがいます。
25 :
名無しさん:2000/07/21(金) 15:54
え〜と、何だっけ。
リチャード・ファインマン教授の書いた物に真空のエネルギーに
関したのがあったな。それとホーガンのSFでもそれに類する話が
あって、真空エネルギーについては日本人研究者の論文で
取り出し方があった様な気がする。
26 :
名無しさん:
真空エネルギーの大きさにはいろんな説があって、この宇宙に詰まってる真空エネルギー
の総量は宇宙の質量の10*10^51597803520000000000(!!!!)倍もあるという人もいれば
地球の体積の真空エネルギーはガソリン4リットル分に過ぎないという人もいてまちまちね。
でもエネルギーは質量と等価なのでそんなに真空エネルギーが大きかったらその質量に由来
する重力で宇宙がつぶれちゃうだろうから、かなり小さいだろうという見解が一般的。