内部被曝は被曝のしかたが外部被曝とまったく異なり、きわめて危険である。
1.内部被曝では、飛距離が短いアルファ線、ベータ線の全エネルギーが電離(電子を吹き飛ばすこと)に費やされ、
人体に被曝を与える。これに対して、外部被曝では、飛距離の短い放射線は届かず、ほとんどガンマ線だけに被曝する。
また、体外に放射性物質がある場合、放射線は四方八方に放射されるので、身体の方に来るのはほんの一部である。
したがって、内部被曝の場合は外部被曝の場合にくらべて桁違いに大きな被曝線量を人体に与える。
2.放射性の微粒子が非常に小さい場合、体に吸収され、親和性のある組織に入って、沈着、停留する。
3.放射性物質が体の同じ場所にとどまると、集中被曝の場所ができる。つまり、内部被曝には局所性と継続性がある。
繰り返し被曝することによってDNAが変性してゆき、癌になる危険が高まる。
4.外部被曝では低線量(少量)の被曝とされる場合でも、同じ放射性物質が体内に入った場合は、桁違いに大きな被曝線量となる。
第二次世界大戦後に放射線被曝によって死亡した人数を欧州放射線リスク委員会は6500万人以上と試算している。
一方、国際放射線防護委員会(ICRP)は117万人と試算している。この差は内部被曝を計算に入れるかどうかのちがいである。