むかし、ある人に、PRL とは
Physical Review Lottery だと教わった。
lot・tery [l#t#ri]
#n. 富くじ, 福引; 抽選分配, くじ引き; 運, めぐり合わせ.
・a 〜 ticket 富くじ札.
[リーダーズ 英和辞典] たしかに、最初にたまたま引き当てたレフェ
リーがいいと、大したことのない論文でもすんなりと掲載されてしまう
割に、ピリピリしたレフェリーに当たろうものなら、相当に優れた論文
でもどうしても掲載されないこともあるようだ。 発行部数や読者数を考
えると、掲載された時の影響力は他の雑誌とは比較にならないだけに、
よけい、くじ引き感が強くなる。 (専門外のみなさん:ほんとは、
Physical Review Letters です。Letter というのは、短い論文の形式の
ことです。)
とはいえ、今までのぼくが経験した(あまり多くない)範囲では、たと
え初期のレフェリーやエディターがめちゃくちゃ否定的でも、こちらが
本当に自信をもっている仕事なら、レフェリーを変更させ論文を改良し
ながら地道にがんばれば、たいていは掲載にこぎ着けられると感じてい
た。
今回の SST 論文でも、ひたすら地道に、しかし強気でこのプロセスを進
んできた。 その結果、きわめて好意的なレフェリーを二人獲得したし、
さいごまで技術的な批判をしてきた人にも論理的に明晰に回答し、それ
に関連する論文の改訂もした。 よし、これで通るところまで持ってきた
ぞ、と思った。
が、通らないんだなあ、これが。
やはり、SST という新しい枠組みを提案するような仕事は敬遠されるの
かも知れない。 あるいは、担当のエディターに強い思いこみがあるとい
う可能性も高い。 ま、どの雑誌に載るかなんていうのは長い目で見れば
どうでもいいことなのだが(特に SST 論文の場合は、予言の真偽こそが
もっとも気にかかる)、それなりに時間もかけているし、さすがに、
ちょっと悔しい。
改めて、
Physical Review Lottery の意味するところを感じている今日この頃で
あった。