デヴィッド・ドイッチュの多世界解釈は正しいか?

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182ご冗談でしょう?名無しさん
>146
> http://www.threeweb.ad.jp/~qm/index_jap.html
これは多世界解釈のまともなレビュー。
David Deutschが多世界解釈の中心人物と思っているようでは勉強不足。
多世界解釈の中心人物はGell-MannとHartle。
ポスト・エベレット解釈としては、多世界解釈の他に
Omnes、Griffithらの論理解釈がある。

エベレットは、波束の収縮を仮定せず、純粋状態のまま
時間発展を考えるとどうなるかを議論した。
この議論をマクロな世界に拡張して、Zurekなどdecoherence effectを考慮し、
状態を粗視化して見ると、あたかも純粋状態が混合状態に変化したかのように
見える。そうすると自然に多世界という概念が導かれる。
多世界は仮定として最初に導入されるものではなく、人間の認識を説明
するために適当な基底を入れて粗視化した段階で得られる概念。

論理解釈もエベレット解釈の後継だが、complimentarityをどう扱うかという点で
難あり。Omnes流ではミクロなレベルの実在は認められず、Griffith流では
互いに両立しない複数の実在を認めなければならない。

シュレーディンガーの猫の問題はdecoherence effectに関係しており、
Bruneなどが実験でシュレーディンガーの猫を再現している。
詳しくはPhys. Rev. Lett. 77 4887とPhys. Rev. A 45 5193

多世界解釈にもまだ問題点がある。
確率導出にはまだ議論の余地があり、Kentなどが反対している。
もう一つは基底の選択についてで、Penroseなどが反論している。
多世界解釈の是非を議論するのなら、この2点が中心になるはず。

いずれにしろ、いい加減な知識で議論するよりは、
まともなレビューを読んだほうが良い。
海外のサイトではThe Everett FAQ
http://www.hedweb.com/manworld.htm
が分かりやすい。国内では、パリティ2000年4月号(和田さんのレビュー)。
もう少し専門的なレビューでは、gr-qc/9304006 (Hartle)がお勧め。