実況板の水遁土遁(議論) 17

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11名無しさん@お腹いっぱい。(江戸・武蔵國)
僕の友人が大学の運動部で監督をしています。彼が用事でグラウンドに出られない時に、
部員がこう聞きに来たそうです。「何やっとけばいいんですか?」
彼はその問いに強い違和感を覚えました。当然です。これは「何をすべきか」を尋ねる
価値中立的な問いではないからです。そのように装っていますが、実際に聞いているの
は「それだけしておけばよい最低ライン」なのです。「あなたから文句を言われないミ
ニマムを開示してください」と、学生たちはそう言っているのです。
これも友人の医学部の先生から聞いた話です。授業の後に廊下を追って質問に来る学生
がいました。教科の内容について聞かれるのかと思って振り還ったら、「これ国家試験
に出ますか?」と聞かれた。
この二つは同じ質の質問です。学生たちは当然の質問をしているつもりですが、彼らが
聞いているのは「ミニマム」なのです。その商品を手に入れるための最低金額の開示を
求めている。
たから、「大学では何も勉強しませんでした」と誇らしげに語る若者は、最低の学習努
力で高値のつく学位記を手に入れた、己の力業に対する人々からの称賛を期待している
のです。
12名無しさん@お腹いっぱい。(江戸・武蔵國):2012/04/10(火) 10:36:51.84 ID:3gMDjgkF0
労働についても、彼らは同じ原則を適用します。「特技や適性を生かした職業に就きた
い」というのは、言い換えれば、「最小限の努力で最高の評価を受けるような仕事をし
たい」ということです。すでに自分が持っている能力や知識を高い交換比率で換金した
い、と。
最も少ない努力と引き換えに、最も高い報酬を提供してくれる職種、それを今の人たち
は「適職」と呼びます。就職活動をする若者たちは適職の発見に必死です。でも、それ
は消費者マインドがもたらした考え方に他なりません。
「賢い消費者」とは、最少の貨幣で、価値ある商品を手に入れることのできた者のこと
を言います。「賢い消費者になること」、それが今の子どもたちの全てのふるまいを支
配しています。
消賞者的基準からすれば、最低の学習努力で最高の学歴を手に入れたものがいちばん
「賢い学生」だということになります。だから、合格ぎりぎりの60点を狙ってくる。出
席日数の3分の2が必須なら、きっかり3分の1休むようにスケジュールを調整する。
60点で合格できる教科で70点を取ることは、100円で買える商品に200円払うよう
な無駄なことだと思っている。本当に学生たちはそう信じでいるんです。そういう人は、
自分が労働を通じて変化し成熟するということを考えていません。でも、「その仕事を
通じて成長し、別人になる」ということを求めない人のためのキャリアパスは存在しな
いのです。