「雪城さんに酷いことするつもりなんて無いんだ、本当にそんなつもりは無いんだ。だってのになんでそんな怯えた顔でボクを見るんだよ雪城さん!」
雪城さんを地下室に閉じ込めてはや3ヶ月。彼女を安全な地域に非難させて保護するというボクの目的は果たされた。ただそのことを雪城さんはどうしても理解してくれない。
しかし僕たちは不思議な意見の一致を見るのだ。
「だから邪悪な侵略者がこの星を狙っているんだ!電波でボクを攻撃するんだ!ボクは雪城さんだけでも助けたいんだよ!」
「お願いよ村田君!其処までわかっているのなら早く縄を解いてここから出して!出ないとジャアク…」
ボクが彼女を守るといっているのに自分が世界を守ると言い張る雪城さん。ボクは彼女の正義感の強さと精神の崇高さに感動しつつ彼女を宥めるのだった、ボールギャグとか使って。
「もうすぐ2学期が終わるねえ…」
秋口のベローネ学園に、科学部の部長が謎の失踪を遂げたという噂が流れ、ラクロス部の部長が強姦され素っ裸で校舎から吊るされたころ、ボクは地下室の雪城さんのボールギャクを外した。
食事のためだ。はじめはそのたび必死になってボクを言いくるめて外に出ようとした雪城さんだったが、もうそんなそぶりも見せない。
今日も雪城さんはベローネの制服を着て地下室のコンクリートの上に置かれたベッドに腰掛けてうなだれていた。
「表は酷い有様だよ」
スープを口元に運んで僕は言った。雪城さんは従順に食事に口をつける。目線はぼうっとしていて、生気がなかった。なんてことだ、こんな地下室にまで電波が来ているなんて。
「右傾化した日本の政権が自衛隊に核武装をしてアジア関係は一触即発って時に、訪日したブッシュが京都で暗殺だろ?もう日本は駄目さ、アメリカの後ろ盾がなくなった日本は中国と戦争だよ。もしかしたら核戦争かも。
いやこの地下室なら大丈夫さ、ヨウ素とか味噌とか買いだめしてあるし」
雪城さんは酷く怯えたような、哀しい目でボクを見た。いつだってそうだ。ボクはこんなに尽くしているのに雪城さんはまるでボクのことを評価してくれない。
「駄目だわ」
ぽつり、と呟く雪城さん。彼女の声を聞くのは数日振りだった。先週、部屋の隅の金だらいにてんこ盛りになっていた汚物に気がついて僕が捨てに行ったときだ。あの時雪城さんはぐずぐずと泣き出してしまった。
汚物でさえも嫌な顔一つせず処分するボク。ああ、なんて献身的なんだ!
「全部ジャアクキングの思いのままだわ。このままでは人類は…」
「雪城さん」
ボクはスプーンを置くと真剣な表情で彼女を見た。
「ボクは君を愛している。それは純粋に精神的なものだと誓える。その証拠にボクは3ヶ月間ここに閉じ込めたけれども一切君に手出しをしなかった。ボクは女性を性の玩具のように扱うイケメンどもが赦せないんだよ!
だって、あいつらが電波を飛ばすおかげでボクは女の人からナメクジとか糸こんにゃくとか小林カヲルとか言われるんだ!畜生、電波め!」
ボクは頭を掻き毟った。雪城さんが憐れむような目でこちらを見ている。
「でもね、雪城さん」
顔をあげたボクを見て雪城さんはひい、と悲鳴を上げた。
「やっぱり子孫は残さなけりゃ、ならない」
悲鳴を上げた雪城さんは、すぐに陰鬱な表情になった。
「やっぱりそうなのね…結局はナニしなきゃおさまらないのね…。私、舌かんででも」
「何いってんだよ雪城さん!誰がセックスなんて気持ち悪いことするかよ!あんなおぞましい、サル行為なんて出来るもんか!見損なうな、俺はそこらのエロ同人じゃないんだ!ふざけんなよ!」
ボクはそういうとカバンから円筒状の鉄の塊を取り出した。
「それって…?」
「これはね、雪城さん。グリースポンプって言うんだ。機械の動くところに油を差すための道具だね。ここを」
しゃこしゃこ、と把柄を操作する。
「こうやると、このシリンダーの中のグリスがこの先から押し出されるんだ」
「……」
雪城さんの表情がすこし和らいだ。そうだよ、ボクはレイプなんてしない。だから安心していいんだ、ボクは酷いことなんてしないんだ。
「ところでこのカートリッジの中には…」
取替え式のカートリッジを指差す。そのカートリッジには白地に青で”a sperm”と書いてある。
「スペ…?」
それを見た雪城さんが言いかけて、顔色を変えた。
「ちょっとおとなしくしてよ!雪城さん!」
雪城さんをベッドに押し倒す。ばたばたと暴れる雪城さん。両手両脚を縛ってあるのに必死の抵抗だ。
「これは違うから!そういうアレじゃないから!」
ボクは必死で叫びながらスカートをずりおろし、パンツを引きちぎった。
「ちょっ…!だめ!そんなの駄目え!」
鼻水をたらし、涙を流す雪城さん。
しかし彼女のその必死の抵抗も、ボクがグリースポンプを彼女の乾燥した秘裂に差し込むと終わった。
ボクはゆっくり力を込めて、ポンプの中の自分の精液を雪城さんに注入した。
「ああ、とても満足だ。僕の子を産んでください。このために昨日から12回も自慰をしたのです。きっときっと、
素晴らしい子供が生まれると思います。ああ、ボクの子を産んでください雪城さん。お願いです、どうか元気な子を」
ぐったりとした雪城さんが、「ボクの子供を産んで」という言葉を耳にするたびビクンビクンと身体を跳ね上げる。きっと彼女も嬉しいのだろうと思って、なんどもその言葉を口にした。