ともよ ってレズなの?

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217130 & 133 ◆Hp0lb9EQ4Y
#トリップつけてみました。

>>211の小説を少しUPしますです。
ただ、続きはいつになるやら……(^^;)すみません。気が向いた時に書いてる
んで
#えっちなのの方に軸足が……

218130 & 133 ◆Hp0lb9EQ4Y :03/08/19 23:19 ID:/ZdK9otd
「それで、お話ってなに?」
 夕食後のくつろぎの時間、さくらが訊いた。
 木之本家のダイニングには、父の藤隆。隣は兄の桃矢。それぞれの前には、藤
隆がデザートとして買ってきたショートケーキが一つずつ、皿に置かれている。
「うん‥‥その‥‥」
 話があると言いだした当人である藤隆が、言い難そうに俯く。なんでも話す優
しい父親である藤隆が、これほど困っているのは珍しい。
「実は‥‥さくらさんにお願いしたい事があるんですけど‥‥」
「なぁに?わたしにできることなら、なんでもするよ」
 ケーキを一欠片、嚥下したさくらは、間髪を入れずに答えた。如何にも素直な、
さくららしい答え方だった。
「ぼくの大学の‥‥春野くんが再来週、結婚するという話は‥‥しましたよね?」
「お父さんの大学で、同じ先生をしてる人でしょう?」
 さくらはその話を思いだした。
 藤隆の同僚で、助教授をしている女性が今度結婚する事になったという話は先
週、聞いた。既に藤隆に来た招待状も見ている。
「その春野くんの結婚式で、ちょっと困った事があってね」
「どんな事?」
「春野くんはクリスチャンで、結婚式もちゃんと教会で挙げる事になっているだ
けど、トレーンベアラーとリングベアラーを頼める子供が居ないんだ」
 如何にも困ったという顔で、藤隆が言った。
219_:03/08/19 23:19 ID:92D7JHai
220130 & 133 ◆Hp0lb9EQ4Y :03/08/19 23:22 ID:/ZdK9otd
「と、とれ‥‥‥って、なに?」
 はじめて聞く言葉に、さくらは戸惑いを隠せない。復唱しようとするが、舌が
ついていかなかった。
「トレーンベアラーって言うのは、お嫁さんが式場に入る時に、ウェディングド
レスの裾を持つ役の事だよ」
 その言葉に、さくらは結婚式の様相を思い浮かべた。神聖な結婚式。真っ白な
ウェディングに身を包み、ヴァージンロードをしずしずと祭壇に進む新婦に、し
っかり自分自身を重ねているのが如何にも女のコである。
 そう言えば、確かにウェディングドレスにはベールが付いていた。ただ、それ
を持って入る役には今ひとつ印象が薄い。
 最近のドレスはだいぶ短くなったが、正式なウェディングドレスではベールは
床まで引く長さがあるのが正しく、また、ドレスの裾もかなり長い。その為、そ
れを持って入る役が必要で、天使をイメージする子供にそれをさせるのが格式に
なっている。
「じゃ、もう一つのリ‥‥リ‥‥」
「リングベアラーの方は、結婚指輪を祭壇まで運ぶ役の事なんだ」
 やはり舌の回らないさくらの先を捉え、藤隆が答えた。
「ふぅ〜ん」
 言いながらさくらは陶然とした顔を見せた。
「どっちも、ちょうどさくらさんくらいの子供にその役をやって貰うんだけど、
春野くんも新郎さんの方も、そういう親戚や知り合いが居なくて困ってるんだ」
 藤隆はそこで一度さくらを見た。
221130 & 133 ◆Hp0lb9EQ4Y :03/08/19 23:25 ID:/ZdK9otd
「それで、春野くんにその事を聞いた僕のところの学生が、前にさくらさんと知
世ちゃんが大学に来たのを覚えていてね。それで、知世ちゃんにトレーンベアラ
ーを、さくらさんにリングベアラーをやって貰ったらどうだろうって‥‥言いだ
したんだけど‥‥」
「えぇ?本当に?やりたい!やりたい!」
 思わず身を乗り出し、さくらが言った。
 結婚式というだけでも充分憧れの的。そこに参加をして欲しいというのは願っ
てもない事だ。
 ただし、自分が結婚する訳でもないのに、ウェディングドレスを着たところを
ちゃっかりとイメージしているのは、少し僭越だろう。
「いいのか?さくら」
 黙って話を聞いていた桃矢が、唐突に言った。さくらが顔を向けると、
「リングベアラーは、普通、男のコがやることになってるんだぞ」
「ほえ?」
 桃矢に言われた事が一瞬呑み込めず、さくらはきょとんとした顔をした。
 何度か頭の中で繰り返し、意味を組み立てて見る。
 それが組上がった時、さくらは軽い目眩を感じた。
「じゃ、わたし、男のコの役をやるの?」
 さくらが自分を指差して言った。
 桃矢と藤隆が揃って頷いた。
「ほぇぇーーーッ!」
 さくらは思わず叫んでいた。