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話が少し横道にそれた。僕がいいたいのは、そのようなホラー映画・パニック映画嫌いの自分でも、
このマタンゴだけは楽しめた。その原因は、マタンゴのキャラクター設定の素晴らしさにある、という
ことを言いたいのだ。
この映画のストーリーは、怖い。昨夜も見おわった後、トイレにいくのが怖かった。ストーリーに加えて
マタンゴのキャラ設定が獰猛な怪人であったなら、怖くて見ていられない映画になっていただろう。
ところがマタンゴはきのこの怪人。ちょっと間抜けなのだ。しかも、食べて美味しいきのこ。申し分がない。
人間には寿命があるが、マタンゴになってしまえば永遠の生命を手に入れることができるのかもしれない。
人間でいるよりマタンゴの方が幸せかもしれないのだ。
しかし、マタンゴにはなりたくないと観客は思うのだ。そうでないと、この映画はホラー映画として成立しない。
マタンゴは獰猛なキャラで恐怖感を与える存在ではなく、マタンゴになってしまうと人間に戻れないという
抽象的な恐怖として描かれている。マタンゴのキャラに観客は様々な想像を膨らませる。観客の想像力を
さかんに刺激するマタンゴの抽象性が、この映画を見た観客に、映画の内容以上の恐怖を与える。