男同士の愛ってそんなにいいものかね?
日常ではホモだオカマだと差別してるくせに。
>>908 GONINのテーマは良くテレビで使われてると石井監督自身が言ってたぞ
安川さんにきちんと著作権使用料が払われてるのかなあと余計な心配をしていた
流れだけでまあ殆ど理解できる、みたいな流し見クセが付いてるんだろうかなあ。俺。
>たけしでさえ愛のために死ぬ、みたいな感じだし
もう組は崩壊してるから武にギャラを支払う相手は既にない、ラストの武はヒットマンとして現れたん
じゃないって事に今頃気が付いた。
936 :
この子の名無しのお祝いに:2012/07/30(月) 18:52:18.73 ID:DgMBRtik
プロデューサーが同じで出演者が被るせいか(本木、根津、竹中、鶴見)
五社英雄の「226」を思い出したなあ。
不景気な時代に、追い詰められた男たちが暴力行動に出て、悲惨な最期を迎えるという筋も似ているし。
937 :
この子の名無しのお祝いに:2012/07/31(火) 13:28:53.95 ID:RsfpKHMO
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ!
ちゃっちゃっちゃじゃねえよこら!
938 :
この子の名無しのお祝いに:2012/07/31(火) 16:40:36.47 ID:NVUPy+iA
首でも吊るか?
足引っ張ってやっぞ
939 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/01(水) 02:06:12.10 ID:+NC1zIGr
チャカが怖くて893やってられっかよ!
どいつもこいつもよ!チャカー
940 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/01(水) 17:09:28.07 ID:eMXXdRXA
>>937 野本のおいちゃんは本物に見えるなw
飯島大介、かなり痩せちまった。
日本人って敗死する男の悲劇の物語が好きだよね
勝って栄光をつかむ男の物語より、あるいはずっと好きだよね
まさに判官贔屓ってやつだ
仕事で知り合った日本好きの中国人と日本映画の話をしたんだ
その人、ちゃんと「GONIN」も観てたよ
(主にたけしが出てるからという理由で)「GONIN」を観る人が中国にもいるらしい
で、「GONIN」の話から、中国人はとにかく日本人は強いものが大好きだと思い込んでる、
だから親日家の中国人は、日本人から敬愛されるためには、
とにかく中国は強い国家にならなきゃならないと信じ込んでるんだよ、
でも実際は日本人は負けて滅びるみたいなものも大好きでしょう?みたいな話になったんだ
確かにそうだよねって
中国人は日本人のこういう美意識がよく解からない人が多いんだってさ
そもそも中国は悲劇ってものが生まれなかった国で、
負けて滅びる、その美しさみたいなのが解からない人が多いんだってさ
でも日本映画を好んで観るような中国人は「GONIN」を面白く観るよって
ちなみに中国版のタイトルは「血光光五人?」
943 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/12(日) 15:37:43.99 ID:oYZWNBxD
これのディレクターズカット版を見ましたわあ
やっぱりカットした方がいいってとこもありましたわねえ
たとえばジミーとナミィーのラブホテルのとこなんかは、
この映画にしてはちょっと湿っぽすぎるというか、メロドラマすぎるかなって思ったね、
だからあのラブホシーンはカットして成功だったかなと思った
でもあのシーンなないと、二人に肉体関係がないってことが分かりづらいから、
あった方がよかったか…?
あとはカットしなかった方がよかったのにってシーンばっかかな
荻原家のシーンなんかはグロくてヤバいからカットしたのかな?それとも単に時間の都合?
同じく荻原家で京谷が一馬をじっと見て「やりてえのか?」ってのは、あれは京谷の嫉妬を描いてるわけだよね
理解できない人にはさっぱり理解できないであろう京谷という人物、その歪んだ愛情ってのが表れてるシーンだった
あとは…
夕景の中、万代と三屋が線路の上を歩いて逃げるシーンなんかも、
なかなか絵になっててよかったのに、カットしちゃってちょっともったいなかったかもね
あれも別になくて困らないシーンだけど、万代が根っからの男好きでは決してないってことが分かるシーン
佐藤浩市ってイケメンなんだか変な顔なのか微妙な顔してるよな
とにかくなんか中途半端ってイメージがある。この役もなんか中途半端な性格した男って感じで、だから合ってるのかな
男も化粧すると随分と印象が変わるんだなと思ったのが本木のモックン
化粧落とす→素顔ってのが歌舞伎の早変わりのようだった
椎名桔平はなかなか端正な顔してて爽やか2枚目なんかもやったりするけど、これではとても端正な顔には見えない
こういう体当たり的な役を売れる前はよくやってたんだよね
竹中直人は大口を開けると口の中に綿が見える
手の動きが本当に怖いです
たけしは大事故の直後ってことで片目ってのもあるし顔がやつれてて痩せてて妙にかっこよく見える、
でも足はやっぱり短い、でも日本人はそこが(も)好きなんでしょう
根津さんはまあ普通にかっこいい。というか、どこを切っても渋くてかっこいいというつくづく美味しい役だよな氷頭さんは
妻子を殺されて後ろも振り返らずに脱兎のごとく逃げちゃうとこでさえ味があるもん
鶴見辰吾はこんな端正な顔してたのかってしみじみ思った、顎髭も似合うんだ
永島敏行は目が可愛らしいんだよな、だからあんまり怖くない。ガタイはいいんだけど
木村イッパチは普通に長身でイケメンだなって感じだが、前髪下ろしたこういう髪形は珍しいと言うかちょっといつもとイメージが違う気がする
で、今どうしてんの
万代は田舎に戻って認知症の母ちゃんの世話をしながら地道な生活を始めたかったんかな
人物がみんな程よく描かれてるから(5人だけでなく殺し屋やヤクザまで)、
なんかそれぞれの人生が透けて見えてきて、思いを馳せちゃうんだな
誰もかれもみーんな儚い夢だったな
946 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/17(金) 18:25:34.30 ID:rVVaYZaB
この会話
「妾の子なら殺せるってのか?」
「そんなこと俺は(言ってません、と言いたかったんやろ)」
「何も知らないってのか?」
「………(知ってるので何も言い返せなくなる)」
ずっこいわ〜このおっさん!
最初から犯すつもりでイチャモンつけとる
まず第一に、このおっさんの心の中には木村いっぱちが栗山千明の死体を見てたのが気に食わんって感情がある
要するに嫉妬やね
んで言葉尻を捉えてイチャモンつけて殴って犯す
おまえが悪いんやから犯されて当然!とな
それに合わせてやるいっぱち。どっちにしたって殴られて犯されることに変わりないしなw
けどなおっさん、あんたまず前提が間違っとる
いくら相手が栗山千明だって腐乱死体とやりたがる奴はおらんわ
あんたはどうか知らんけど
とにかくたけしと竹中直人というおっさん二人が強烈すぎるわなw
948 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/19(日) 00:28:41.71 ID:I9CFAyhD
舐めんなよ!!
舐めたら・・・立つのが・・・
あれ何て言ってるの?聞き取れない。
あと竹中は何で狂ってるの?
家族を殺したのは竹中?武たち以外のヤクザ?
949 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/19(日) 11:05:17.84 ID:R+xScvzt
>>948 家族を殺したのは竹中
リストラされて家族から馬鹿にされたので発狂して殺した
てか劇中の竹中は終始狂ってる
荻原の奥さんの人形、行方不明になっちゃったらしいけど、
今どこで何してるんだろうね
>>949 ありがとうございます。
怖ぇ〜やっぱ初めから狂ってたのか・・・
舐めたら・・・立つのが・・・のセリフが聞き取れない。
あれって勃つのがって意味かな。
あと演出だろうけど、いきなりレストランの客が消えるのが違和感。
拳銃で静かに脅しても一回は悲鳴を出すだろう
俺がよく観てないのかな。
レストランが一気に異次元になるのが面白いんじゃないですか
人がいなくなった空白感にドっと不安が押し寄せるような
こういった感覚良く分かるですよ
ヒットマンズが出てくる時のカスタネットのBGMを聴くと緊張する
お盆休みに田舎をぶらぶらしてて、たまたま入った古本屋で「GONIN」のサントラ発見、
買っちゃったよ
「GONIN」は音楽もいいねぇ
特に「京谷と一馬」って曲がいい。殺し屋二人組が出て来るとかかる曲だ
じっくり聴くとこの曲、
カタカタカタってカスタネットが陽気なリズムを奏でてるのに、
なんかすごく不気味というか不安にさせられる曲なんだな
このカスタネットはたぶん一馬のち○このおもちゃの音を表現してるんだな
だから一馬の死後は、京谷が出てきてもこの曲はもうかからない
あと特によかったのは「夜に想いを」ってのと「骨壺」って曲(メロディは一緒)
特に「骨壺」はぐっとくるね。ラスト、三屋の横顔が映されてるシーンでかかる曲だ
まあ、どの曲もいいんだけどね
955 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/20(月) 17:27:00.52 ID:zPYonvTN
どの曲聴いても安堵感のかけらもない、だがそれがいい!
ディスコの曲は「野本のおっちゃんのテーマ」と言ってもいいだろうw
>>954 ヌード1冒頭での悲劇を予感させるしかないようなサックスも素晴らしい。
石井監督の音楽感覚は異様に、あまりにも秀逸かと思う。
例えば「天使のはらわた 赤い閃光」での冒頭、確かガムランみたいのが流れ川上麻衣子が目を覚まし監督手書きのタイトル。
これだけで魂を根こそぎ吸い取られてしまいました。
そのせいか内容はほとんど覚えてないんですが。
これおっさんたちがいいな!
たけし最高!
竹中直人きしょい!(褒め言葉)
根津甚八かっけー!
…と思ったけど、この頃の竹中直人ってそれほどの歳じゃないのかな?
958 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/22(水) 02:16:08.75 ID:F56XPOoA
北野映画より良いよな
何で世界的な名声が無いのか。
まぁ北野映画ファンの俺だけど
武はこういう映画は撮れないんだよな
GONIN撮影時の年齢
佐藤浩市 34歳
本木雅弘 29歳
根津甚八 47歳
椎名桔平 30歳
竹中直人 39歳
ビートたけし 48歳
木村一八 25歳
永島敏行 38歳
鶴見辰吾 30歳
横山めぐみ 25歳
永島暎子 39歳
川上麻衣子 29歳
飯島大介 45歳
忍竜 43歳
不破万作 48歳
伊藤洋三郎 49歳
津田寛治 29歳
栗山千明 10歳
室田日出男 57歳
960 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/22(水) 20:43:20.14 ID:IoKK2MqG
961 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/23(木) 00:07:19.02 ID:Jp9V31Cd
タイトルがビミョ〜
もっと良いタイトルないかな
万代37歳(1958年生まれ)
三屋23歳(1971年生まれ。誕生日が来てないのでまだ23)
荻原42歳(1953年生まれ。ちなみに誕生月日は竹中直人と同じ)
っていう年齢設定なんだよね
あとの登場人物は分からない
大越組長は老眼が入ってるので多分40代だろう
963 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/23(木) 12:22:19.38 ID:lT2vFo9v
たけしは稲系のトップ(故人)と付き合いがあった
一八の親父の横山やすしは義竜会の竹垣悟に舎弟盃をもらった人だった
やすしの実兄(一八の伯父)もその筋の人だった
石井監督はリアルのヤクザのことを知らないそうだけど、
芸能人の多くはヤクザと繋がりがあるし(この映画のヤクザ大越組もちゃんと「大越芸能社」だ)
特にたけしと一八はヤクザのことをよく知ってるだろう
最近は映画撮ってるの?
GONINしか知らないけど、バイオレンス撮って欲しい
中国人や香港人や台湾人の「GONIN」感想を日本語に訳してみた
・細部はみな良い。音楽も悪くない。前半は牛のようにのろのろしているが、後半になるにつれどんどん良くなる。
・この映画の厳粛な感じのヤクザ(YAKUZA)が好きだ。
・素晴らしい社会派悲劇。泣きたい気分なのに涙が出ない。主題歌は心に染み入る。
・竹中直人と椎名桔平は、彼らだと分からなかった。びっくり。
・冒頭はいささか冴えないが、雨中の銃撃戦は牽引力十分!
・どんなに人が死のうが血が流れようが、本木雅弘と佐藤浩市のキスより刺激的じゃない。
・男女のメロドラマじゃない石井作品は貴重すぎる。北野武がずば抜けて良い!
・これが20年前の東京か…
・「紅い花」がとても良い。一度聞いただけなのに、あの歌声が忘れられない。
・大筋はありふれているが、細部は絶え間なく光り輝いている。
・はじめの20分ほどは退屈だったが、その後はどんどん素晴らしくなっていった。
特に竹中直人が良い。最初のうちは、竹中直人がオーバーで奇妙な演技をするので、
わざと笑いを取ろうとしているのかと思っていたが、
やがて彼がなぜこのような演技をするのかが判明する。圧巻です。
・わけのわからん登場の仕方をする殺し屋との銃撃戦。曖昧だった同性愛はやはり最後で爆発した。
・それぞれが為すべきことを為し、畜生のように死んでいく。
・想いを台詞で説明しないのがいい。
ラスト、北野武は明らかに違う銃を持っていた。あれは死んだ弟分の銃であり、そういうことなのだ。
中国人による「GONIN」長文レビュー
撮影と編集は素晴らしい。しかし、全体の構造はややだらけている。
director's cut版も観たが、確かにいくつかのシーンはカットして正解だった。
特に取り上げる価値があるのは、石井隆の悪趣味についてである。
竹中直人が帰宅して家族に喜びの報告をしているシーンで、妻子の惨殺死体が映し出される。
私はもう少しで北野武が一足先にやって来て、仕事を済ませたのだと勘違いするところだった。
しかし、注意すると、ブンブンという蝿の羽音がしているのに気づく。死体はすでに腐っているのだ。
ということは、死んでから少なくとも三、四日は経っていることになる。
そのうえ、竹中は幻覚を見ている。私はすぐに竹中の妻子の惨死について疑問を覚えた。
続くシーンで、竹中は腐乱死体と風呂に入り……私は吐きそうになった。
石井はまだ止まらない。
人の胸をムカつかせる蝿のブンブンという雑音の中、腐乱死体のそばで、
北野が説教を開始し、弟分をレイプし、最後に竹中一家の幸せそうな家族写真を映しだす。
まったくこんなことは、普通の人間の頭では考えつかないことだ。
石井隆の悪趣味は、1995年の時点ですでに最高潮に達したといえるだろう。
その他、印象的なシーンをあげると、
トイレで佐藤が本木にキスするところ、死に瀕した弟分が北野にしがみつくところ:
これらには同性愛色が出ている。
ジミーがリンチされたあと、ナミィーの血まみれの服を来て出現するところ。
雨中の銃撃戦と、北野が狂ったように罵倒しながらパトカーを撃退するシーン:
パトカーは小馬(一馬の愛称)の兄貴に敬意を表したのだろう。
本木が弾痕と血痕のついた佐藤のコートを着ているところ。
台湾人による「GONIN」長文レビュー
オープニングの、空から撮った東京の夕景は血なまぐさい赤色をしていて、雰囲気がぐっと盛り上がってくる。
雨の夜のどんよりした空気や、艶のあるネオンの光。
大都会の暗く混沌とした感じが真に迫っている。
映画全体を蒸し暑い低気圧の空気が覆っている。
ヤクザが報復を開始し、椎名桔平と竹中直人が相次いで退場し、佐藤浩市も死に、
ストーリーは、お互いに恋人を奪われた北野武と本木雅弘の報復合戦へと変化する。
最後に力を入れて同性同士の深い愛とその悲劇を描いているのだが、
私は心から感動できなかった。
私にはどうも本木の演技に納得がいかず、彼をほかの役者に交換したなら、
あるいは感動の涙をこぼしたかもしれない。
しかし、本木だけを責めることはできない。脚本にも問題はあるのだ。
彼の役は途中から性格が変わっていないか?
根津甚八と本木の二人が暴雨の中、車内でちあきなおみの優しいラブソング「紅い花」を聴く。
このシーンの穏やかで悲しい感じがとても良い。音楽の効果もよく出ている。
根津と本木は次々にヤクザを倒していく。
しかし、思いがけないことに、北野武が現れ、しかもジャージ姿で、
あっという間に根津を撃ち殺してしまった(このキャラクターは本当に可哀想だ)。
さらに思いがけなかったことには、以前に北野武に怒鳴りつけられ凌辱された弟分の木村一八が、
(北野は言ったことは本当に実行するのだ。犯罪現場でレイプ……。相手はとても美しい青年だからハッピーか)
意外にも心から兄貴を愛していて、兄貴を守って本木の銃弾に倒れるのだ。
(これで終わりではない。まったく頭を抱えてしまう)
さらに思いもよらなかったのは、この映画の中で私がもっとも深く感動した点なのだが、
北野オヤジにとって、実は殴ったり怒鳴りつけたりすることは愛だったということだ。
このとき、彼の偽りのない気持ちが表れた。
椎名は頭が弱そうで魅力がない(彼と彼のタイ人のガールフレンドはポカンとしている)。
竹中は抜群に良い。失業後、暴力とイライラを制御できなくなった人物だ。
これはバブル経済が弾けて打撃を受けたサラリーマンの極限的な姿であり、
もっとも時代を反映させたキャラクターだ。
彼の娘を演じているのはなんと栗山千明! あまりはっきりしないフルショットに、台詞はひとつ。
今とあまり変わらない感じだ。
香港人による「GONIN」長文レビュー
これはクールで峻厳な復讐劇である。
各キャラクターの性格描写は、どれも程よい。
万代と三屋の恋情。
リストラサラリーマン荻原の家族悲歌。
ガールフレンドの幸せな生活というジミーの美しい夢と、その崩壊という悲劇。
元警察官・氷頭の痛ましい英雄っぷり。
さらには、殺し屋二人組の関係まで。
どれも入念に描かれている。
クライマックスの大虐殺は、同種の映画の模範となるべきものだ。
私が最も好きなのは最後の相撃ちのシーンと、北野がパトカーを撃退するシーンだ。
恋人であり相棒でもある小馬(一馬の愛称)を失った北野の悲しみを見て、
三屋は生きる意義を悟ったのではないか。
バスがトンネルから出るところは、三屋が死から脱出できたことを表しているようだ。
しかし、彼が死にたくなくとも、天は彼に死を命じた。
あらゆる者が死へと引き寄せられ、だれ一人生きて還らない。
残酷で非情だが、すべては罪と罰なのだろう。
俺は外国語は英語しか解かんないんでGONINの海外のレビューは英語で書かれたのしか読んだことないけど、
外国人にはジミーが元ボクサーでパンチドランカーを患ってるってことが分かってない人が結構いるみたいだな
ジミーのことをただのおつむの弱い可哀想な子と思ってるらしい
中国語圏の人にもそういう人がいるみたいだな
でも日本人もそうかな
一応パンチドランカーって言葉も出て来るし、ボクサーらしいことやってるけど、ちょっとわかりづらいかもしれん
971 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/29(水) 16:37:57.67 ID:/zU/25bd
石井隆と山根貞男(映画評論家)のGONINについての対談が載ってる『1995年秋・冬号 映画芸術 第377号』をゲット。
適当に抜き書きしてみます。うざかったらすみませんがスルーしてやってください。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
山根 『GONIN』という映画で石井さんが今までと違ったといえば、やっぱり男の映画だということですね。
べつに女性専科とだれも思ってないだろうけど、女性に向けるまなざしに強烈な独自なものがあって、
それが石井隆の個性になってた。ところが今回はギンギンの男の映画ですからね。
石井 それは僕にとっては同じなんですね。
男同士でも、男と女の形であっても、
人と人との人間関係、好きになってしまう、憎んでしまう、
人が人を愛することのどうしようもなさを描くと言う意味では、
男と女でなくちゃいけないということはなかったんですよ。
男と男でもいいし、女と女でもいいし、その見せ方をどうするかということですよね。
石井 僕が劇画を描いていた二十数年というのが、
本当に描きたいものだけを描いてきたかのように思われていますが、描いてきてないんです。
僕が最初みんなの目に触れたのは『天使のはらわた』(ヤングコミック)です。
あれは言ってみれば男の群像劇で、仲間に入れず、あぶれた三、四人の連中のオートバイの話なんです。
ところがあの時「三流エロ劇画家」というレッテルをいきなり貼られちゃって。(略)
色んなものを描きたかったんです。アクションもSFもエロもハードボイルドも、泣けるやつで。
そういうプロットを書きためてたんです。チャンスが来たら、と。
いきなりレッテルというか、烙印を押されてチャンスどころじゃなくなった。
山根 たしかに『天使のはらわた』という劇画には色んな要素が入っていて、
なかでも活劇の要素は大きかった。
だから、なるほど『GONIN』では元のところへ揺れ戻ったともいえる。
石井 エロだと言われるのが嫌なんじゃなくて。エロチックな絵画とか映画とか大好きな方ですから。
ただ烙印を押すのは勝手だけど、人間ってそればかりじゃないんだからチャンスを下さい。それだけだったんです。
でもまたこれを言いだすと、「何かっこつけてんだ、エロのどこが悪いんだよ!」って言われる。
そうじゃなくて、ただチャンスをですね……。
972 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/29(水) 16:41:47.70 ID:/zU/25bd
石井 配給をどうするかについて、竹中さんも僕も思いは奥山さんだったんですが、
持っていけない事情があって、僕らで他の、といっても東宝、東映は内容的に芽が無かったものですから、
別の配給会社を独自に当たることにしたんです。
それがすべてダメで二進も三進も行かなくなったときに、急転直下、奥山さんが拾ってくれた。
「最初からウチに持って来ればいいのに」って。
ですから、配給会社に当たったり役者交渉のために、早くから台本はあったわけです。
山根 キャスティングは最初から決まってたんですか?
石井 一応内諾ですが全部決まってました。
山根 で、その後、変更なし?
石井 内諾を得てからは変わってません。
山根 それは凄いことだよね。普通、企画が動いていったらキャスティングも変わっちゃうから。
何処で作るか分からない時から台本でもってOKをもらってしまったんですね。
例えばビートたけしは?
石井 たけしさんを説得したのは、カノックスの三浦寛二プロデューサーで、
それは大分早い段階から。あの大事故の前です。
山根 たけしさんは石井さんの何を面白いと思ったんだろ?
石井 さあ、何なんでしょう? 僕はうれしかったし、大変勉強になったけど。
山根 とにかくあのキャスティングを見たら、どこの会社でも飛びつきそうなもんだけどね。
すぐ乗らないなんて、何を考えてるんだろうと思う。いや、実は何も考えてないか(笑)。
石井 それはやっぱり監督ですね。
山根 だって、あの豪華メンバーが揃ったのは石井監督だからでしょう?
石井 いや、佐藤浩市、本木雅弘といった初めての役者さんは、竹中さんの勧誘がかなり奏功してると思います。
山根 でも竹中直人が動いたのは、あくまで監督の才能に入れ込んだからですよね。
そこで思うのは、やっぱり役者の中には面白いことをやりたいとウズウズしている人がちゃんといるってことですね。
石井 役者は勉強してますね。
山根 意欲的で、何か面白いことができないか、とね。
今までやって来たものじゃないなにかを、新しいことをやりたい、と。
そういう連中が集まったからこそ企画が成り立っているわけで、
それにプロデューサーなんかが乗らないっていうのは、今の日本映画の一番貧しいところですね。
石井 僕が悪いんですね。
山根 そんなふうにすぐ考えてしまうところが暗い(笑)。むろんそうさせる方が悪いんだけど。
973 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/29(水) 16:45:11.96 ID:/zU/25bd
山根 8月にスイスのロカルノ映画祭へ行ったとき、
ホテルにチェックインするなりいきなり聞かされたのが
「石井隆がひどく落ち込んでいる」という話で、これには参ったですよ(笑)。
コンペに入ってる『GONIN』が前日だかに上映されたところ、途中で席を立つ観客がかなりいたらしい。
で、その翌日、石井さんに会ったら本当にしょげきってる(笑)。
僕が「気にすることはない」と言うと、
「いや、一人や二人じゃない、ぞろぞろ出ていったんだ」とあなたは言ったけど、
あの上映会場は3000人ぐらい入るんでしょ。
ぞろぞろ半分出ていったって、1500人も観てるわけでね(笑)。
それに、過激な表現をしていれば、反発は必ず出てきますよ。
特にロカルノみたいなところでは暴力描写が即物的な反響を呼ぶ。
石井 殴るだけで年配の人は席を立っちゃうんですね。
山根 同じくコンペ作品に選らばれた塚本晋也の『東京フィスト』は、
ボクシング映画だから暴力シーンがあって、
血ダラダラなんて描写があるんだけれども、ほとんどゲーム感覚による映画だから、
血だらけもゲーム感覚で面白がれば面白がられるんですよ。
でも、『GONIN』はゲーム感覚で面白がるにしては生々しい。
ということは、逆に言うと、
『GONIN』がもろに受け止められたからこそ、反発が出てくるというわけでしょ。
最後にブーイングが起こったと同時にブラボーの声と拍手も湧き上がったというんですから、いいじゃないですか。
石井 ロカルノは『GONIN』の宣伝の一環として、松竹のご好意で連れてっていただいたわけですが、
スイス、イタリアと楽しい旅行をさせてもらって大変感謝していると同時に、
期待に応えられなくて申し訳なく思ってるんです。
ただ僕はもともと『GONIN』はそういう映画では決してありえない線を狙ってましたから、
上映が決まったと知らされても、なんというか僕には結果が見えてたというか、
嬉しいんだけど、痛し痒しといった……。
カンヌでのタランティーノ以来、暴力映画を評価する流れがあるという判断と、
日本通のマルコ・ミューレル氏がロカルノ映画祭のディレクターをしているから、
といった期待もあったのかと思われますが、
タランティーノの場合はあれを推したC・イーストウッドの慧眼をこそ評価すべきで、
暴力映画が“低俗”という蔑視から逃れられたとは僕は思っていませんでしたから、
空振りした場合の方がマイナスになるから辞退したい、と言ったんですが、
「あなたの映画は日本より海外に受けがいい」と逆に励まされちゃって。
石井 僕の場合、観ようと思った映画はどっか一ヵ所でも自分にとって面白いところがあれば満足して館を出られるんですが、
ロカルノの観客の場合、明らかに暴力描写の直後に席を立つわけで、
生理的というより、宗教とか信条がはっきりしていて、映画に対する娯楽の意味が僕なんかとまるで違ってて、
プラスもマイナスもごった煮して呑み込むんじゃなくて、自分にとってのマイナス因子ははっきり拒否する、
そう感じたわけです。
もっとも、面白かったら立たないのかもしれませんが(笑)。
ハリウッド製のアクション映画の亜流という見方もあったようですね。
日本のことはほとんど興味もないんだけど、「オウム」のことだけは知っていて、
マスコミからは、日本人はどうしてあんなに残酷で暴力好きな国民なんだとしきりに訊かれて、
滞在中ずーっと下向いて歩いていたんですよ。
山根 どこの国もバカだから、マスコミの連中は(笑)。
974 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/29(水) 16:50:51.12 ID:/zU/25bd
山根 ハードボイルドってのは何もドンパチやることじゃなく、
人間の生き死にに関わる激情を凝縮したもんでしょ。
ところが多くの人はキツイと言って敬遠する。精神がヤワになってると思うしかない。
ハリウッドのゲーム感覚のアクションものならいいということになってね。
石井 ゲーム的なアクション映画なら、すげーっとかテクニックを楽しんで観ていられるけど、
人の生き死にとか、出会いと別れとかって生活を引きずる。自分の顔が見えてしまう。
お金を払ってまで観たくない。ウンザリする。
実人生に疲れてウンザリしてるわけですから、
ハードボイルドは人間関係ですから、巻き込まれたくないんじゃないですか?
仕事だ、人間関係だって先の見えてる毎日をやってるわけですから。
ハリウッド製のアクションはデートにも最適だし、
ハードボイルド的な厳しい人間関係、相手が最愛の男であっても裏切っていたと知ると、パン! と女が撃つ、とか、
避けたいんじゃないのかな。
僕は映画ならなんでもいいんですが、
どちらかと言われたらハードボイルド的な、男女関係がギリギリ音するようなですね、
それを娯楽映画にしてる、加藤泰さんのような、メルビルのような、ですね。
加藤泰さんもメルビルもハードボイルドだけど、単純なドンパチじゃない。
単純なドンパチじゃないけど、ものすごいドンパチなんですね。
激しく燃え上がるときに炎が止まって見えるとか、
激しく回転する独楽が制止して見えるといったふうに僕には見える。
誇りとか死を賭けての、最後の一発とか……。
山根 ハンフリー・ボガードの人気なんかも、そういうものに共鳴することから始まるわけで、
今では女性の方が解かる。そういう女性が出てきたんで、男は嫌なんだろうね。
石井 日本の男はそういう女性をどう扱っていいかわからないんでしょうか?
山根 活劇ということで訊くんですが、タランティーノはどうですか?
石井 あの喋くりが面白いと思うんですけど、ラップって感じするんです。
あそこでサ、銃をぶっ放したらサ、ガキに当たっちゃってサ、死んじゃってサ、ヤバくてサ。
しかし僕には、暴力的ではあるけれど、映画で知った暴力を映画として再生してる、といったふうに、
映画的な現実をザッピングしてきて、現実的な映画の時間を創り出していく、
何かすべてをオモチャにしてるって感じで、
そういう意味では映画的な情緒を並べて情緒を消していくし、
身近な与太話から大きな映画を創ってしまう身近さには刺激させられますけど、
パクっても仕方ないことですしね。
そういった個性って、当人の歴史あってのものですから。
『GONIN』をタランティーノのパクリだとかって言う人がいたけど、ちょっと違うと思うんですが。
山根 同じ暴力を描いても、タランティーノの場合は何処か笑わせるところがあるでしょ。ユーモアが。
つまり暴力を描くときに、ユーモアというものを片一方に入れておくことによって、
初めて表現として暴力も許されるのに、『GONIN』はユーモア無しに暴力ばっかりやるから、それはきつい、と。
でも『GONIN』にユーモアは無いのか。僕はユーモアがあると思っている。
それはユーモアの定義はいっぱいあるだろうけど、そこのところをどうして感じないのかなと不思議なんですよ。
975 :
この子の名無しのお祝いに:2012/08/29(水) 16:55:23.35 ID:/zU/25bd
石井 アメリカ映画の暴力っていうのは、
第二次世界大戦とかベトナム戦争などを“聖戦”だと言われてますよね。
良い奴が悪い奴を殺すっていう形でのド派手な、
本当にピストルごっこのような大量に人を殺しても、別にそれは神の許しを得てるんだから良いんだという。
で、そういう神の加護もなく聖戦でもないのに、人を殺しちゃってるドラマが展開していくことに対して、
人殺しのアクションを描いてもいいけど、やはりそれは主人公に大義名分がなきゃいけないってことになる。
日本人は宗教がないから、個人的なドロドロとしたドラマになっちゃうじゃないですか。
僕なんかは、もうちょっと切実な個人的な生き死にってことでの……。
山根 だけど、まさにそのことが良くないと思われてる。
石井 ですね。だから暴力映画は神の加護の名において作らないと(笑)。
映画なんだから、心の安らぎを求めてみんな楽しみにして見に来ているのに、
なんでこういう言ってみればプライベートの殺し合いのドラマを作るんだ、と。
それはルール違反なんでしょうね。映画は映画で娯楽なんだから、スポーツと同じでルールがあるんですよ、やっぱり。
やはり、それはお金を取って見せるのであって、救いがなきゃいけないという。
山根 まったく逆に、僕なんかは、映画だからこそルール違反を楽しめると思うんだけどね。
石井 日本の暗いといわれる映画が輝いて見えた僕は、
死体の絵を描き、暴力映画を作ったわけですが(笑)。
まるで救いが無い(笑)。
あの8月のロカルノの立ち去っていった人たちの後姿を見てですね、
大変申し訳ないことを僕はしてしまった、どうしたら償えるだろうか、って。
で、苦し紛れに、『GONIN』もところどころですね、
たとえば本木君が自殺しようとしたところに、
ブーンと殺された竹中さんから生まれた蝿が飛んできて思いとどまらせるとか、
トイレで殺された万代が死に際に最後に耳にしたパトカーのサイレンが、
三屋に発砲しようとするたけしさんの気を逸らせてくれたりとか、
ラストのバスの中でもそうです、万代の骨壺がたけしさんの止めの一発を思いとどまらせるとか、
神があちこちに出てくる救いの映画なんですよ〜って、呼び戻したかったんですけど(笑)。
山根 ダメなやつを呼び戻さなくたって、最後まで観ていた人がいっぱいいたんだから(笑)。
石井 いいんです、それはもう(笑)。
山根 そういう人のことを気にしてもしょうがないでしょうか(笑)。
石井さんはこういう映画を作ったつもりが、ある人はまったく違ったふうに見ちゃったというのも有り得るじゃないですか。
「いや違うんだ、僕は灰皿を作ったんじゃない、グラスを作ったんだ」と言っても、
「私は灰皿で面白ったよ」と言う人がいてもいいじゃないですか。
石井 ええ。
おまけ
「見える」画面と「見えない物語」を両立させた監督 上島晴彦(映画評論家)
石井隆(脚本・監督)の最新作『GONIN』を見る。
暴力団から一億円を強奪する五人の男、という物語の枠組は
アメリカやフランスや日本の様々な傑作ギャング映画を思い出させるものだが、
画面そのものはこの枠組から想像される雰囲気からは大きく逸脱している。
本作を評価するにしても、あるいは否定するにしても、この点に踏み込んで論評するのを避けては通れない。
画面というのは「どうしようもなく」見えてしまうものであり、
物語というのは見ようとしても見えない、それこそだた「語る」以外にないことなのだが、
石井隆にあっては、脚本家としての彼がひたすらスマートに語りきろうとした物語を、
監督としての彼が心ならずも裏切り、ひたすら誇大妄想的に肥大させていくかのようなのだ。
「見える」画面に淫する能力を持った映画監督と、
「見えない」物語を効率的に語りきることに喜びを覚える演出家とは、
本来両立しないものなのに石井においては、奇妙なことが起こっているらしいのである。
石井隆はこの題材をかなり長い間あたためてきたと聞いたが、
確かに周到な人物設定が成されている。
五人それぞれが映画以前に様々な人生を送っており、
それが現金強奪後に明らかにされていくという基本的なパターン。
ここが脚本家の腕の見せどころになる。
様々なエピソードが、らせん状に上昇していくようなスタイルで脚本は練り上げられている。
そのらせん的上昇運動の軸になっているのは犯罪の「計画」「遂行」「挫折」という、
このジャンルでは最も一般的なパターン。
本稿の最初に物語の枠組から画面の雰囲気が大きく逸脱していると書いたが、
その印象はこの独特の脚本構造に由来するものと言ってよい。
つまり無駄なく語り切りたいという欲求は、運動の垂直軸を形成し、
たっぷりと画面に淫したいとする映画監督の欲動は、らせんの揺れ幅を大きくすることを意味する。
なんとか現金強奪に成功した後、暴力団がこの五人に差し向けるのはビートたけしと木村一八の殺し屋コンビである。
ここからは五人がどのように殺されていくか、がストーリーの主眼になる。
そして石井隆は一人一人の殺され方を丹念に、
ほとんど時間が止まってしまったような印象を見る者に感じさせるほどまでに執拗に描写していく。
衝撃的なのは竹中直人の場合である。
すでに狂っている竹中の視点と、
竹中を殺しにやってきた殺し屋の視点とを自在に交差させながら描写するこのシークエンスこそは、
石井隆でなければとうてい説得力を持ちえないに違いない。
前半、現金を首尾よく強奪するまでの毒々しい活気に満ちた画面作りから、
後半、一転して静けさに満ちた暴力の世界へ。
根津甚八が自分の身に危険が迫っているのを感知するのも、レストランが静まりかえったほんの一瞬の出来事だったし、
さらに忘れがたいのは、逃げおおせたかに見えた本木雅弘の前にビートたけしが現れてからラストまでの展開だ。
二人は無人の高速バスの中で撃ち合い共に絶命するのだが、
トイレタイムを終えたバスは、何事もなかったかのように出発するのである。
冒頭、佐藤浩市の夢の中で見せた本木の凶々しい表情から、ラストの穏やかな夢見るような死に顔への転換に、
石井隆的暴力の複層的なあり方が見てとれる。
そして、多分、このような一人の人間の表情の異質な幾つかのあり方をまるごと捉えていくことを可能にするのは、
やはり画面に淫することのできる能力を備えた映画監督だけだと思うのだ。
拝啓・石井隆様 元気の薬になりました 室賀厚(映画監督)
『GONIN』を見させていただいた。これぞ映画だ。来てる、来てる! 打ちのめされてしまいました。
どうもここんとこ、私は日本映画にツイてない、どちらかというと見た後で落ち込むことが多かったんです。
でも、この『GONIN』は違ってました。久々にガッツのある日本製アクションを見せてもらいました。
私は『GONIN』を観て、日本映画も、そして日本製アクションも、まだまだイケるぜ! と思いました。
決してVシネマではなく、ましてやテレビでもない。
お客さんを劇場に呼んで入場料を取る、といった本来の形の映画でという意味です。
まず嬉しいのは、35ミリだ――あたりめぇだ! と怒られそうですが、
私の作品も含めて、最近は本当に35ミリで撮ってる映画が少ないんです。悲しいが現状なんです。
でも、この『GONIN』は本物ですぜ。正真正銘の劇場映画だ、という気持ちになります。
そして、そして、出て来る、出て来る! 一流も一流、日本を代表するビッグな俳優さんたちが次から次へ――
まずは、バブル崩壊で借金地獄に陥っている佐藤浩市さん、カッコイイ〜!
はちきれんばかりのダンディズムを振りまくその姿を見ていると、
今では本当に少なくなった二枚目映画スターの風格というものが、佐藤さんには絶対にあると思います。
この佐藤さんとバッティングセンターで恐怖の出会いをしてしまうのが、リストラ解雇のサラリーマン、竹中直人さん。
設定も狂気(吐きそうなくらい恐ろしい役です)なら、芝居もまた当然狂気です。
次なる登場は、ナイフのように尖った美青年役の本木雅弘さん。この方も、役も凄けりゃ芝居も凄い。
その美しさ(気色悪さ)たるや、尋常ではない。
そして、もっともアクション映画の主導的立場で登場するのが、刑事崩れの用心棒役の根津甚八さん。
後半では家族の復讐のために銃を取るという鳥肌もんのシーンが用意されているのです。たまらんぜ!
最近では落ち着いた感じの芝居でしかあまりお目にかかってなかったけど、今回は凄い、前へ出る!
そして男を魅せてくれるんですよ!
椎名桔平さんは、パンチドランカーの役で登場、ジャブ中のような目つきに、染め上げた髪の色、
そして地ではないかと錯覚しそうな凄い演技、そのインパクトは凄い。
またそれとは対照的に、椎名さんには人一倍悲しい設定が用意されている。
組織も黙っちゃいない。飛び切りの殺し屋を差し向ける。
ビートたけしさんと木村一八さんだ。
たけしさんの雰囲気が凄い。傑作『その男、凶暴につき』から警官のバッジを取っただけといった感じだ。
木村さんは、『いつかギラギラする日』とは一味変えて、無節操にはわめき立てない。そこがまた怖い。
いや〜、書いてりゃキリがないですよ。とにかく、次から次へと凄い役者さんが登場して来るわけですよ。
すげー映画のトーンは決して劇画タッチではなく、リアルにシリアスに、そしてショッキングに展開していき、
アメリカ映画なら衝撃の問題作! という位置づけになるのかもしれません。
あの映画でそんなにはしゃいでいるのはおまえだけだ、と怒られそうですが、
私にとっては元気の薬になったのは事実なんです。
そして、何より驚いたのは、凄い面々の俳優さんたちが「1800円分は必ず魅せるぞ!」と言わんばかりの、
すっげー迫真の演技で迫ってくる。日本映画でこんな感覚を受けるのは久しぶりです。
この映画のパワーに圧倒されて、私は単なるお客さんになってしまいました。
で、観終わってしばらくすると、今度は、酒を飲まずにはいられないくらいの、強烈な嫉妬に襲われたんです。
クソッ! パワーが私の唯一の売りだったはず。
それなのに同じ制作会社の試写会で、こんな強烈なパワー弾を撃ち込まれてしまうとは……。やられた!
しかし、嫉妬して、酒を食らってる場合じゃないとすぐさま考え直しました。
明らかに『GONIN』は、私にとって元気力エネルギーになりました。日本映画もまだまだイケます!
わたくしもGONINについての知識を披露しなければと今ちょっと考え込んだが特に何もない
いや一つあった。でも多分みんな知ってる。でもまあ書く
万代っていう名字は、余貴美子の事務所の社長の名字である(借用の許可は取ってある)
この柴田一馬という役は、
本来は、というとおかしな言いかただが、
石井作品の流れ的にいえば、椎名桔平がやるべき役だったように思える。
「ヌードの夜」の仙道、「夜がまた来る」の柴田一哉、そして「GONIN」の柴田一馬。
この3人はダブる。
特に後ろの2人。名前までほぼ同じだし。
仙道と柴田一哉を椎名桔平がやったのだから、柴田一馬も椎名桔平……と、
石井監督も思ったりはしなかったのだろうか?
しかし、「GONIN」の頃にちょうど桔平がブレイクしかけてたので、
もうひと押し背中を押してやろうということで、
メインの5人組の一人であるジミー役に桔平を抜擢したということなのだろうか?
ジミー役を誰にするかということについては、やや揉めたという話を聞いたことがある。
それとも……
モックンが三屋じゃなくてほかの役をやりたがっていたそうだから、
ジミー役を誰にするかで揉めたというのは、モックン関連なのだろうか?
モックンは少ない出番でほかの役者を食えるからという理由で、三屋以外の役を希望したそうだ。
これがジミー役のことなんじゃないかと思われるんだが……
モックンの年齢からいって、可能性があるのはジミーか一馬だが。
まさか久松ってことはないだろう。
まあ、結果的に言えば、
一馬は一八で、ジミーは桔平で、三屋はモックンで正解だったけど。
モックンと言えばあのキスシーンは
シナリオではモックンからするんだったのに、
現場でモックンが拒否し、
監督はどうしたらやってくれるんだろうとオロオロしてたら(ちなみに監督はモックンのファンだった)、
佐藤浩市が、じゃあ僕の方からしましょうと
変更になったと言えば、土砂降りの復讐戦の時、
当初の予定では死ぬのは一馬じゃなく京谷だったんだよな
で、一馬が復讐に行くっていう形になるはずだった
でも逆にして大正解だったな
考えてみれば一馬が生き残って兄貴分の復讐ってんだと「夜がまた来る」の会長と柴田の焼き直しだしな
万代と三屋のキスも、万代からに変更して大正解だったし
982 :
この子の名無しのお祝いに:
変更といえば、荻原の家での京谷と一馬のセリフも変更になってたな。
本編では京谷の履歴を一馬が言ってたけど、決定稿では京谷が自分で
言っている。京谷の履歴を入れたのは、たけしが「(京谷の)履歴みたいなのはどうなの?」
って尋ねたから、台本に入れたらしい(DVD談)